研究概要 |
スフェロマックは自己電流によって閉じ込め磁界を発生するプラズマ閉じ込め方式であり,その磁界構造の長時間維持のために磁気ヘリシティ-注入法が有力視されている。その具体的方法として平成3年度においては,中心変流器を用いて誘導的にヘリシティ-を注入する“OH法"の実験を行なって,その特性を検討した。実験においてはTSー3スフェロマック発生装置の中央対称軸に沿って外径10cmのステンレス被覆の変流器を設置して,それにコンデンサバンクからパルス巾250〜800μsの電流を供給し,スフェロマック内に最大40kAのトロイダル電流を誘起させた。この時の磁界構造をプラズマ可視光形状の時間変化を,磁気プロ-ブアレ-と3方向×10チャネルの可視光計算機トモグラフィ-システムによってそれぞれ観測した。その結果,スフェロマック固有の磁界構造は,約3〜4倍の時間にわたってヘリシティ-注入を行わない場合に比較して長く維持されることが判明した。しかし,あまり強力に注入を行うと逆に構造の崩壊を引き起こす事も判明し,動作条件には最適値があることを見出した。ヘリシティ-注入に伴う磁束変換機構を解析する目的で,中央断面上の可視光発光分布のモ-ド解析を行った結果,長時間維持が行われている場合にはトロイダルモ-ドn=3から2,1へと逆カスケ-ドのモ-ド励起が行われるに対して,強力注入で構造崩壊を引き起こす場合にはn=1,2,3と順カスケ-ドのモ-ド励起が行われていることを見出した。これ等の観測結果をMHD計算機シミュレ-ション結果を対比させてみると,大筋において特性の一致が見られることがわかった。強力注入で安定に配位を維持することを目的として安定化導体の設置等の実施を検討しているが,それとは別の方向としてトカマクと同様な外部トロイダル磁界の印がが有用ではないかと考えてそれについての実験を開始した。
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