研究概要 |
広帯域ISDN(BーISDN)は,情報の伝送交換方式としてATM(非同期伝送モ-ド)方式を採用することによって,数10b/sの超低レ-トから,150Mb/sに達する超高レ-トの情報を統一的,かつ柔軟に取り扱えるユ-ザ-網インタ-フェ-スを提供することを志向している.本研究課題の目的は,このようなBーISDN加入者収容網の構成法として,Shuffle Ring(SR)網と名付けた新しいネットワ-クを提案し,その諸特性を理論とシミュレ-ションによって明らかにすると共に更なる改善を施すことであった.これに対する本年度の成果は以下の通りである. (1)SRネットをBーISDNの加入者網として用いる場合には,一つの呼に対して唯一つのバ-チャルパスを設定することによって,パケットの順序を保証することが必要となる.これに対して,各ノ-ドが自律的に次のノ-ドまでの経路を決定する分散制御による方法でパス設定を行っても,集中制御による方法と同等のトラヒック特性が得られることを明らかにした.(2)SRネットのトラヒック特性について,各ノ-ドのバッファ長を有限とした実用的な場合についての理論的な検討を行うと共に,シミュレ-ションによって理論解析の妥当性を確かめた.これによって,各ノ-ドに必要なバッファ長や,パケットの遅延時間分布が明らかになった.(3)不均衡負荷に対する特性の劣化について検討を行った.その結果,SRネットが本来もつ負荷分散機能によって,不均衡負荷による特性の劣化の程度は,当初の想像より小さいものになることが明らかになった.また,特性劣化に対する有効な対策としてトラヒックによって動的に制御手法を変化させることを考えている.この点について平成3年度も引続き検討を加える予定である.(4)SRネットでの同報通信アルゴリズムについて基礎的検討を行った.(5)SRネットの信頼性向上を目的として,双方向のリングを用いたBSRNを提案した.
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