研究概要 |
光ファイバを伝送媒体として用いる高速LAN(Local Area Network)の研究が現在盛んに行われており,動画像を含んだマルチメディア通信を可能性が高まっている.本研究課題の目的は,既に広く商用化されておりまたデ-タ伝送の際のオ-バ-ヘッドの少ないFDDI(Fiber Distributed Data Interface)上で,マルチメディア伝送,特に動画像伝送行う際の諸問題を解決することであった.これに対する成果は以下の通りである. 1.パケットロスが無い条件の元での動画像符号化法を考察し,DCT等の変換符号化に比べ帯域分割符号化が,符号化効率・ハ-ドウェア設計の面から適していることをシミュレ-ションにより示し,また最適な帯域分割フィルタの設計方法を明らかにした.2.FDDIのタイムドト-クンプロトコルが備えている,パケットの優先度を規定する時間パラメ-タと実際にステ-ションが送ることのできる伝送速度の関係を理論的解析によって明らかにし,この時間パラメ-タを適切に設定することによってFDDI上でマルチメディア伝送が可能となることを示した.また,シミュレ-ションによってこの理論の検証を行った.3.伝送中のパケットロス対策として,動画像パケットに対して,タイムドト-クンプロトコルの時間パラメ-タだけでなく,ステ-ション側で実装しえる様々な方法でプライオリティを付与した場合の動画像符号化特性についての検討を行うことともに,デ-タ等他の呼種とのトラヒックの干渉の度合についてシミュレ-ションにより明らかにした.4.1.〜3.の結果を踏まえ,様々なメディアの情報を転送するステ-ションが存在する実用的な条件を仮定し,パケットの遅延時間・画質等について多角的観点から検討を行い,FDDI上ではテレビ会議レベルの動画像通信が十分行えるという最終的な結論を得た.
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