研究概要 |
広帯域ISDN(BーISDN)実現に向けての課題は多数あるが,特に高い信頼性をもつ加入者収容網を安価に構成することが重要である.本研究課題の目的はこのようなBーISDNの加入者収容網,あるいは超高速MANとして,Shuffle Ring(SR)ネットと名付けた新しいネットワ-クを提案し,その諸特性の解明と特性改善を試みることであった.これに対する最終的な研究成果は以下の通りである.1.SRネットの詳細なトラヒック特性を明らかにし,バッファが有限長である実用的な条件の元での解析を行った.これによって,SRネットに要求される所要バッファ数,パケット遅延時間,所要伝送速度が明らかとなった.2.SRネット上での不均衡負荷に対する対策を考慮し,集中制御的手法に依らずとも分散的な方法によって不均衡負荷による特性劣化を回避しうることを示した.3.SRネットをBーISDNの加入者網として用いる場合には,バ-チャルパスの設定等によるパケットの順序保証が必要となるが,各ノ-ドが自律的に次のノ-ドまでの経路を設定する分散的手法でパスを設定しても,集中制御による方法と,同等のトラヒック特性が得られることを明らかにした.4.SRネットの信頼性向上を目的とした,双方向のリングを用いるBidirectional Shuffle Ring Network(BSRN)を提案し,過負荷対策やパスの設定法についての検証を加えた.5.SRネットを含む,より広範なネットワ-クトポロジ-をもつネットワ-クに対して,呼単位に帯域を割り当てる方法によりマルチキャストを行える方法を導き,そのためのル-ティング方法を解明した.6.SRネット,及びSRネットの拡張形であるBSRNを含むより応用範囲の広い様々なネットワ-クが与えられたときに,これが呼レベルで非閉塞となるための条件について理論的な検討を行った.7.両年度の成果を総合し,SRネットをBーISDNにおける加入者収容網,あるいはMANとして実現するための設計指針を与えた.
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