研究概要 |
当該年度は,演繹的学習と帰納的学習の融合の基盤となる拡張EBLについて理論的基盤を確立することに重点をおいて研究を展開した.得られた研究実績の概要は以下のとおりである. (1)拡張EBLの理論と問題解決への応用 EBLは例題からの汎化に基づいて自分がもつ領域知識を洗練化することを可能とする有用な枠組みであるが,領域知識が完全であること及び操作性規範と呼ばれるマクロル-ル生成のための強いバイアスを必要とする点において適用の範囲がこれまで限定されていた.本研究では,従来のEBLを複数例題下に拡張した拡張EBLを提案した.拡張EBLは論理プログラム上に形式化され,複数例題上の汎化からなる空間と操作性規範の関係について理論的に考察した.拡張EBLは,EBLとSBL(SimilarityーBased Learning;類似性に基づく学習)の自然な融合を与える枠組みであり,本モデルによる効用問題(Utility Problem)への適用可能性を明らかにした. (2)矛盾問題をもつ不完全な領域理論下での妥当なマクロル-ルの獲得 負例をも説明してしまう不完全な領域理論問題に焦点を合せて,複数の例題から生成される共通説明構造に対し,プリミチブな説明構造間の類似性を反映する極大被覆の概念を導入し,共通説明構造の汎化階層を構築し,汎化階層をトップダウン的に探索することにより,すべての正例を包含し,すべての負例を排除する妥当なマクロル-ルを生成できる方法を提案し,Prolog上に学習システムを実装した.さらに,本モデルを逐次的に例題が投入される場合にでも対処できるように拡張した. 以上の研究成果は,人工知能学会誌の研究論文として2篇採録され,また人工知能に関する国際会議であるPRICAI'90およびIJCAI'91でも各1篇採録されている.
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