研究概要 |
1.ユリ科のノビルに関しては、新個体,ラメット個体ごとにC.Nの季節的分配パタ-ンの分析を完了した。 ノビルは葉状の鱗片葉が重ね合わさった鱗茎を形成するが、成長の開始と共に(5〜6)ケ月間ですべての鱗茎内のC.Nは地上部の展開と共にすべて消費し、新たに形成された同化器官によって生産された同化産物を鱗茎内に急速に集積する。併せて、娘鱗茎が形成される。 C.Nの転流率は非常に速い。 2.林床性ユリ科多年草ギョウジャノニンニク,カタクリに関しては、総N,タンパク態N,可溶性N,遊離アミノ酸の各器官別の動態に関する分析を行い、同時に測定された光合成速度の季節的変化とも合わせて、生育環境内の光要因の変動に対応した代謝機能の変化と、Nの分配パタ-ンとの関係が解析された。これらの林床性多年草は、冬期間の低温期に鱗茎内にrーメチレンアミノ酸の形態で大量の遊離アミノ酸をプ-ルしている。その生理的役割に関しては、さらに検討が必要である。 3.ミゾソバ,タネツケバナ,カタバミ,ナタネなどの一年草を用いたさまざまな環境regimeの下における裁植実験は終了し、目下C.Nの分析に着手しつつある。上述した多年草とのC.N分配パタ-ンの相違点をさらに明らかにする必要がある。
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