研究課題/領域番号 |
02454426
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
猪木 令三 大阪大学, 歯学部, 教授 (60028719)
|
研究分担者 |
前田 定秋 大阪大学, 歯学部, 助手 (00135732)
米原 典史 大阪大学, 歯学部, 助手 (70124534)
工藤 照夫 大阪大学, 歯学部, 講師 (10028805)
斉藤 喜八 大阪大学, 歯学部, 助教授 (40110788)
|
キーワード | 痛覚制御 / 歯髄 / 三叉神経 / サブスタンスP / エンケファリン |
研究概要 |
サブスタンスP,およびエンケファリンなどのペプチドは一次求心線維に高濃度に分布しており、感覚受容に重要な役割を果たしていると考えられている。本研究では歯牙疼痛の伝導路である歯髄、三叉神経節、三叉神経脊髄路核でのサブスタンスP、エンケファリンの動態などを調べ、歯牙疼痛の制御に果たす役割を追求した。 1)ラット切歯歯髄ではブラジキニンによりメチオニン・エンケファリンの産生が増強されるが、その産生酵素の精製と前駆体の単離を試みた。まずその産生酵素はライソゾ-ム分画に高濃度に分布することから、ライソゾ-ムを分離後、CMセファデックスCー50でゲル濾過を行い、さらにセファデックスGー75にかけた。その結果、分子量23、600の酵素が精製され、その諸性質を調べると、カテプシンBであることが解った。また、前駆体蛋白の検索では可溶性分画からセファデックスGー100などで精製すると分子量58、000の蛋白が同定された。従って、歯髄では分子量58、000の前駆体からカテプシンBによりメチオニン・エンケファリンが生成されることが明らかになった。 2)三叉神経節ではエンケファリン類がイオンチャネル(特にCa)に影響して侵害刺激を制御していると考えて実験を行ったが結果は得られなかった。 3)家兎歯牙に電気刺激を加えると、特に三叉神経脊髄路核尾側亜核でサブスタンスPとメチオニン・エンケファリンの放出が見られ、サブスタンスPの放出がモルヒネにより抑えられる。これらのことから歯髄に加えられた侵害刺激により三叉神経脊髄路核尾側亜核からサブスタンスPの放出がみられ、これがオピオイドペプチドにより抑えられるという痛覚制御機構が考えられる。
|