研究概要 |
エアロゾル粒子は,レーザー照射によって加熱されて溶融・蒸発し,あるいは加熱の不均一性や媒質ガスとの間の熱的非平衡により,光泳動などの特異な動力学的挙動を呈する。本研究は、これらに関連する基礎的事項について検討し,その工学的応用の基礎を確立することを目的としたものであって,えられた成果の主なものは次の通りである。 1.種々の粒子材料(水・炭素),粒径(1〜50μm),レーザー波長(可視・赤外),レーザー強度(10^6〜10^7W/m^2,媒質ガス(N_2,He,Ar)について,粒子加熱速度,平衡温度,局所エネルギー吸収を計算し、有効な粒子加熱を行うための諸条件について検討した。効果的な粒子加熱を行うには一般に10^7W/m^2以上のレーザー強度が必要なこと,サブミクロン粒子の加熱にはむしろ可視光レーザーの方が有効なこと、などを明らかにした。 2.粒径10μm前後の炭素粒子を四極子セル内に保持し,種々の條件下で照射して,光子相関法によって粒子のブラウン拡散係数を測定し、粒子の温度上昇が,2で求めた理論値と一致することを確かめた。 3.四極子セルとビデオ追跡法の組合わせによる粒子挙動追跡装置を開発し,レーザー照射下における粒子の光泳動力を求めた。また,粒子軌跡の理論計算結果と対比してその一致性を確かめ,四極子内粒子のレーザー照射下の安定保持条件を明らかにした。 4.ナノメーターオーダーの超微小銀粒子を作成し,その分散性を保持しながら粒子濃度を濃縮するための手法を開発して,その物性の検討を行っている。
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