研究概要 |
回転ポリトロ-プと回転している非圧縮性流体の安定性を数値的に求めるための手法の確立を行なった。回転するポリトロ-プの安定性に関しては、線型化方程式をモ-ド解析することによって、固有値・固有関数を求める数値計算コ-ドを作成し、ポリトロ-プ指数1.0,1.5,3.0のモデルについて種々の回転則を仮定して計算を実行した。その結果、バ-モ-ドのセキュラ-不安定は状態方程式や回転則に依存しないで、回転エネルギ-と重力エネルギ-の比が0.14で起こるとされてきたのに対し、比角運動量一定に近い回転則の場合には、その比が小さくても不安定化する可能性のあることがわかった。このことは、コンパクトな天体の場合に重力波を放出して不安定化しやすくなることを意味している。 一方、非圧縮性流体の場合には、密度の時間変化が現れないために、定式化がポリトロ-プと同様にはできない。そこで、モ-ド解析によってあらわれるモ-ドの振動数を含んだ方程式を「固有値問題」としてではなく、固有関数の一点での値を指定することによって、「平衡状態」を求める問題ととらえ直すことによって、定式化を行なった。「平衡状態」を考えるために、振動数を含めた未知量に関してニュ-トン・ラフソン法によった。その際、多数の固有モ-ド・固有値の中から基本モ-ドを選び出すことは、「マルチグリッド」的な粗いメッシュから始めて細かなメッシュに至ることによって可能となる。この手法によって自己重力のあるトロイドの基本モ-ドを初めて求めることができた。
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