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1990 年度 実績報告書

8族遷移金属ニトロシル錯体の合成,物性と化学的機能

研究課題

研究課題/領域番号 02640403
研究機関大阪府立大学

研究代表者

大辻 吉男  大阪府立大学, 工学部, 教授 (20081341)

キーワードπーアリル鉄錯体 / ニトロシル鉄錯体 / トリカルボニルニトロシル鉄酸塩 / 1,3ージェンの1,4ー官能基化 / αーアシルカルボカチオン / αーアシルカルボアニオン / βーアシルカルボカチオン / βーアシルカルボアニオン
研究概要

ニトロシル配位子をもつ各種(η^3ーアリル)8族遷移金属錯体の簡便合成法の開発,これらの錯体の構造と物性および化学的機能との関係についての系統的理解,これらの錯体の化学的特性を利用する新しい有機反応の開発などを目的として研究を行った。本年度は鉄錯体を中心に研究を進め,次のような成果を得た: 1.ヨ-ドメタンの存在下,1,3ージエンとBu_4N^+〔Fe(CO)_3NO〕^-(TBAF)とを反応させると(η^3ー1ーアセトニルアリル)Fe(CO)_2NO錯体1__〜,また塩化アセチルの存在下,アルケニルオキシランとTBAFとを反応させると(η^3ー1ーアセトキシアリル)Fe(CO)_2NO錯体2__〜が高収率で合成できることを見い出した。さらに,α,βー不飽和カルボニル化合物およびαーハロカルボニ化合物から,(η^3ー1ートリメチルシロキシアリル)Fe(CO)_2NO錯体2__〜および(η^3ー2ートリメチルシロキシアリル)Fe(CO)_2NO錯体4__〜をそれぞれ高収率で合成する方法を確立した。 2.錯体1__〜,2__〜,3__〜,4__〜はNaCH(CO_2Me)_2のような炭素求核反応剤,HC〓CCH_2Br のような炭素求電子反応剤のいずれともアリル配位子の立体障害の小さい位置で位置選択的に反応し,それぞれ相当する多官能性化合物を効率よく与えることを見い出した。ことに,炭素求電子反応剤との反応では,錯体のCO配位子の一つをP(OPh)_3に変えると,反応効率が向上することを見い出した。 3.(η^3ーアリル)Fe(CO)(L)NO錯体(L:CO,PR_3,P(OR)_3)のIRスペクトルおよびNMRスペクトルの温度変化を測定し,これらの錯体における各配位子の優先立体配置を明らかにした。 4.錯体1__〜は1,3ージェンの1,4ー官能基化の中間体,錯体3__〜はβーアシルカルボカチオンおよびカルボアニオン等価体,錯体4__〜はαーアシルカルボカチオンおよびカルボアニオン等価体としての化学的機能をもち,これらの錯体はいずれも合成化学的に利用価値が高いことが明らかになってきた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 大辻 吉男: "有機金属活性種の開発とその合成化学的展開" 有機合成化学協会誌. 49. 2-15 (1991)

  • [文献書誌] 伊藤 詣二: "Preraration and Reactivities of (η^3ー1ーand 2ーTrimethylsiloxyallylic) Fe(CO)_2NO Complexes." Bull.Chem.Soc.Jpn.

  • [文献書誌] 伊藤 詣二: "アルケニルオキシランの開環による(η^3ーアリル)Fe(CO)_2NO錯体の合成と反応性" 日本化学会第59春季年会(1990年4月)講演発表(講演予稿集II,p.1374),Chem.Lett.

  • [文献書誌] 中西 三郎: "(η^3ーアリル)Fe(CO)(PR_3)NO錯体の構造" 日本化学会第60秋季年会(1990年10月)講演発表(講演予稿集II,p.765),Chem.Lett.

  • [文献書誌] 中西 三郎: "A New Route to bis(μーCycloalkylideneamido)hexacarbonyldiiron Complexes via a Reductive Fission of =NーO Bond by Fe_3(CO)_<12>" Chem.Express. 5. 73-76 (1990)

  • [文献書誌] 中西 三郎: "Synthesis of Pyrrole Derivatives from 5,6ーDihydroー4H1,2ーoxazines via Reductive Deoxygenation by Use of Fe_3(CO)_<12>" Bull.Chem.Soc.Jpn.63. 3595-3600 (1990)

  • [文献書誌] 伊藤 詣二: "Redox Reaction of Aromatic Aldehydes with Fe_3(CO)_<12>" Bull.Chem.Soc.Jpn.64. 118-122 (1991)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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