研究課題/領域番号 |
02640596
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
秋山 雅彦 信州大学, 理学部, 教授 (20015580)
|
研究分担者 |
小坂 共栄 信州大学, 理学部, 助教授 (20020670)
酒井 潤一 信州大学, 理学部, 教授 (30020663)
|
キーワード | 顕微FTーIR / ケロジェン / 花粉化石 / 熟成度 / 熟成経路 / ビトリナイト反射率 |
研究概要 |
平成2年度の研究で、フ-リエ変換顕微赤外分光光度計を使用し、透過ー反射法で第四紀の花粉化石の赤外吸収スペクトルをとることに成功した。今年度は、透過ー反射法に使用するアルミニウムのメッキを施した鏡の改良を行い、各種マセラルの混在する試料を鏡下で識別しながら、そのマセラルのスペクトルをとることに成功した。この方法で、後期中新世のケロジェン試料の中から花粉化石を検出し、そのスペクトルが基本的には第四紀のものと一致することが確認された。また、透過法の場合には、KBrーdiscの間に花粉化石またはケロジェンマセラルを挟み、180kg/cm^2程度の圧力でプレスすることで、透過ー反射法と全く同一の吸収スペクトルを得ることができた。 ケロジェンの熟成度評価にあたって、これまでにビトリナイトの反射率を始めとして多くの方法が開発されてきているが、タイプIケロジェンについては有効な方法が開発されずに留まっている。また、ケロジェンの物理・化学的特性はケロジェンのタイプと熟成度によって規定されるので、タイプの決定を行ってからその熟成度の議論をしなければならない。この問題の解決のため、加熱温度と加熱時間を変化させて処理した各タイプのケロジェンについて、ビトリナイトの反射率法で熟成度を決め、それらの試料について熟成度の進行とともに生ずる赤外吸収スペクトルの変化を拡散反射法で明らかにした。1710cm^<-1>(C=0)、1610cm^<-1>(C=C)、1460cm^<-1>(CH_2+CH_3)の値を頂点とした三角ダイアグラムの中で、各タイプのケロジェンの熟成経路を描くことができた。このダイアグラムは地質試料でのケロジェンの熟成度評価に適用できる。ケロジェンのFTーIRスペクトルによる堆積盆解析が可能になろう。
|