研究概要 |
含水けい酸塩鉱物等の水の平衡水蒸気圧温度変化測定装置の改良・開発は、本体部で終り、手動で測定を行っている.主な改良点は,主ガス体積を従来の1lから300mlへと小さくし,圧力計・日本MKS圧力トランスデュ-サ-39OH及びディスプレイユニット27OBー4を導入した.本体全体を木製の箱に収め,ヒタ-及びサ-キュレ-タ-により約40℃にし装置を定温に保つことができる.コック操作等は全て外部から行うことができる.以上のような改良と従来から使用していたクォ-ツ温度計により,ガス圧及び温度の測定において1.3Pa(0.01mmHg)の圧力測定分解能及び0.001Kの温度分解能をもった測定が可能となった.試料加熱部は縦型とし,電気炉により〜300℃程度まで昇温できる。この装置により島根県石見クリノプチロライト及び蔵王モルデナイト中のゼオライト水の平衡水蒸気圧温度変化の測定を行った.PーT関係は極めてなめらかであり二次曲線により完全に近似できた.水蒸気脱水量も極めて正確に測定された。今回圧力測定精度が上ったことにより25〜40℃の狭い温度範囲において多点測定を行なうことができた.石見ゼオライトの一定温度における脱水の進行に伴うエントロピ-値は必ずしも単調な増減を示さず,ある脱水状態で極小又は極大等を示すことが明らかになりつつある.このことは,脱水に伴って水の構造がゼオライトのトンネル中で敏感に変化しているものと考える根拠を与える.またゼオライト水のエントロピ-が自由水のそれより大きく出ることが認められた.これは,本装置による測定が,水蒸気と直接平衡関係にある水のエントロピ-であることを示す.例として30℃lgの石見ゼオライトの脱水レベル0.26,0.28,0.30,0.36,0.38mmolにおけるゼオライト水のエントロピ-は,79.6,82.6,85.3,75.0,74.3J・K^<-1>・mol^<-1>(H_2O)であった。
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