研究概要 |
高速な再帰形2次元ディジタルフィルタをマルチプロセッサシステムで構成する方法を研究した。90年度は領域内は単一プロセッサまたは指定した数のプロセッサで処理を行い,同時に領域間並列処理を行った。91年度は領域内をより多数のプロセッサで並列処理することとした。 1.領域内並列処理法 Roessorの状態空間モデルを用い,2次元ブロック処理法を用いる。ブロック状態行列の行ごとに一つのプロセッサを割り当い,すべてのプロセッサに同時に現状態ベクトル,入力サンプルを逐次入力し,同期して並列に動作させる。領域の処理時間,つまり一行の処理時間は行列の列数に比例する。ところで分母分離形フィルタのブロック状態行列は高いスペ-ス性を持つ。そこで行,列をそれぞれ入れ換えて零要素を少くし,行,列のサイズを縮小し,プロセッサ数の節減と処理の高速化を達成した。 2.一方向リング結合マルチプロセッサによる領域内並列処理と領域間一方向並列処理の同時実行 領域間は垂直方向にのみ並列処理することとし,一つの領域の列の処理が終ると右隣りの領域の列へと処理が進むことにした。そして2次元,零状態,擬似零状態の三ブロック処理法を用い,指定したスル-プットを最小数のプロセッサで達成する領域の大きさP×Q,それをさらに分割した小領域の大きさP_1×Q_1(領域内並列度はP_1),領域間並列度をシミュレ-ションで求めた。結果は擬似法が最も良く,領域は垂直方向に長い形状が良かった。一方向並列処理は,二方向並列処理より一画面の処理開始より終了までの時間が短くてすむという利点がある。本研究は処理に必要な乗算数で処理時間を算出しているが,実際にマルチプロセッサシステムを構成して処理を実行させて,本研究の結果の妥当性を検証することが今後に残されている。
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