研究概要 |
1.標識抗体の投与経路に関する検討:ヒト大腸癌に対するモノクロ-ナル抗体A7をクロラミンTにより ^<125>Iで標識し,担癌ヌ-ドマウスに種々の経路より投与した。その結果,腫瘍に直接注入した群で局所に最も高いカウントが計測され,末梢血中への出現も少なかった。その際の領域リンパ節をカウントしてみると,静脈内投与群に比較して局所投与群では約10倍の標識抗体が検出された.以上の結果より転移リンパ節に標識抗体を効率良く到達させるためには,単に全身投与するよりも内視鏡下に病巣に直接注入する方が良いと考えられた。 2.標識抗体の毒性:Balb/cマウスにおける抗体の毒性を検討したところ,投与量を1000mg/kgまで増やしたにもかかわらず死亡例は無く少くとも臨床例で使用すると考えられる量の10倍以上の量まで安全に安全に使用可能と考えられた。 3.リンパ節転移の計測効率の検討:大腸癌病巣を体外からイメ-ジするために,術前に ^<131>I標識抗体を投与した症例の手術材料から計測の可能性について検討した。マクロレベルのオ-トラジオグラフィ-では癌病巣が容易に確認できた。また,微小な転移巣も検出可能であった。そこで,市販(堀場製作所)の小型放射線検出装置を用いて,病巣やリンパ節の計測をこころみたが,本装置の計測エネルギ-レベルが必ずしも ^<131>Iに一致していないため感度が極めて不良であることが判明した。したがって検出のためには,そのサイズや消毒の可能性も含めて専用の計測器の開発が必要と考えられた。このために今年度は抗体検出のための最小必要量については明確な数字を出すことはできなかった。しかし,ウエル型ガンマ-カウンタ-により試料中のカウントは可能であり,実際に必要な計測精度・感度の算出ができた。
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