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1991 年度 実績報告書

クモ膜下出血後の増殖型血管症におよぼす血小板の役割について

研究課題

研究課題/領域番号 02670631
研究機関香川医科大学

研究代表者

本間 温  香川医科大学, 医学部, 助手 (60209343)

キーワードくも膜下出血 / 増殖型血管症 / 血小板由来増殖因子 / 脳血管攣縮
研究概要

ネコを用いたくも膜下出血(SAH)の実験モデルにおいて、出血14日後の中大脳動脈(MCA)をH.E.染色すると、血管内腔の狭小化と血管壁の肥厚がみられた。これを画像解析装置を用いて正常ネコと比較してみると、この内腔狭窄と血管壁の肥厚は統計学的に有意であった。炭過型電子顕微鏡では、内皮下に合成分泌型平滑筋細胞の増殖がみられ、中膜平滑筋細胞は変性していた。また、細胞外マトリックスであるコラ-ゲンの増生もみられた。以上の所見は、増殖型血管症(PA)を裏付けるものである。さらに、SAH作成24時間後に、TPAを50万I.U.を大槽内に投与してくも膜下血腫の早期溶解わ行うと、PAの発現はみられず、くも膜下血腫中の物質がtriggerとなっていると考えられた。そこで、PAの発現に関与すると考えられる血小板由来増殖因子(PDGF)を投与してPAが発生するかを検討した。ネコ大槽内にPDGFーAA1μgを投与するPDGFーAA群,PDGFーBB1μgを投与するPDGFーBB群及び生食を投与するshamーcontrol群につき検討した。H.E.染色では、PDGFーBB群で血管内腔の狭窄と血管壁の肥圧がみられ、画像解析による分析でこれらは統計学的に有意であった。透過型電顕ではPDGFーBB群での内皮下の細胞増殖と中膜平滑筋細胞の変性,細胞外マトリックスであるコラ-ゲンの増生がみられ、SAHモデルと類似した形態変化を示し、PAが発現していると考えられた。また、PDGFーAA群では中膜平滑筋細胞辺縁の不整がみられたのみで明かなPAは発生しなかった。これらの血管をPDGF抗体で染色したが、いずれの血管も陰性であり、この時期にはPAは既に完成しており、PDGFの合成分泌は行われていないと考えられた。SAH患者髄液中のPDGF値はDay3まで高値を示すが以降は検出されないことから、早期の血管でPDGFが染色される可能性が高い。以上の結果より、髄液中より外膜側に作用したPDGFのB鎖のPA発現への関与が示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 猪股 園江,本間 温,蓮井 光一,入江 恵子,蒋 昆,長尾 省吾,大本 尭史: "くも膜下出血後の増殖性血管症の成因に関する実験的検討ーくも膜下血腫早期溶解の効果についてー" 脳血管攣縮. 7. (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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