研究概要 |
昨年度に続き裂孔原性網膜剥離の復位眼の錐体系,杵体系視野を経時的に測定した。その結果,網膜剥離では剥離の高さが低くても,鋭敏に杵体系感度低下として表現され、modified Humphrey Fieed Analyzer(HFA)による明順応・暗順応perimetryは術前の機能低下の評価に有用であると考えられた。復位後の感度回復は術後1ケ月までは急速であったが、以後は緩徐であり、3ケ月までは杵体系の感度の回復の方が遅れた。術後の感度回復は患者の年齢、剥離の高さ、範囲とは相関しなかった。剥離の持続期間が長ければ錐体系の感度回復は悪い傾向を示した。検眼鏡的に剥離のない部位でも、動的視野検査では検出することが困難な網膜機能不全による感度低下を示すことが観察された。黄斑部剥離を伴う場合,黄斑部の錐体系感度は術後早期にほとんど正常に回復するが視力はその時点には正常に回復していないことがあった。その場合foveal cone densitometryの結果からは錐体視細胞外節の機能低下が示唆された。 本年度は上記の研究に加えFoveal cone Densitometryの測定法をさらに改良した。すなわち従来本法における測定の不正確性に関与する原因の一つであった測定中の眼の動きや光源の変動による影響に対して参照光の適切な利用によってこれらの影響をほぼ完全に補償できることを明らかにするとともに、これを正常者の錐体視物質の再生特性測定に用いて高精度の測定が可能であることを示した。
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