研究概要 |
個体レベル、臓器レベル、及び細胞レベルでのリポソ-ムの挙動について検討した。リポソ-ムのマ-カ-は3Hーinulin及び3Hーcholesterylhexadecyletherを用いた。リポソ-ムはExtrusion法によってサイジングした。粒子径は0.05、0.2,0.4及び0.8μmについて検討した。 1)血液中での安定性:in vitroにおける安定性の実験を行い、分解率に及ぼす粒子径の影響について検討した。水素添加PCリポソ-ムについてラット血清における安定性を測定した。分解は脂質濃度の増加、粒子径の減少にともなって減少した。従って、脂質濃度と粒子径が薬物保持に重要な一因であることがわかった。一方、in vivoにおいては、ラットに各種リポソ-ムを静脈投与後、経時的に血液と尿を採取し、イヌリンの尿排泄クリアランスより血液中でのリポソ-ム分解クリアランスを算出した。In vivoにおける分解クリアランスはリポソ-ムの血中濃度の上昇とともに減少し、in vitroにおける結果と良い対応を示した。(際田) 2)In vivoにおける臓器クリアランスの測定:In vivoにおける取込クリアランスは投与量及び投与速度の上昇とともに減少し、著明な投与量依存性を示した。この取込過程は非ミカエリスーメンテン型の速度過程に従うことがわかった(原島)。3)還流肝における臓器クリアランスの測定:還流系において、リポソ-ムの取込に及ぼす血清成分の影響を検討した。リポソ-ムの取込は血清により明らかな増加を示し、オプソナイズの効果が見られた。オプソナイズの効果が粒子径によってどのような影響を受けるかを検討したところ、0.4μm以上の大きなリポソ-ムにおいてオプソナイズの効果が見られた。また、血清によるリポソ-ムのオプソナイズする能力には飽和過程があることもわかった。(原島)。 4)細胞への取込過程:培養肝細胞におけるリポソ-ムの取込過程のモデリングを試みた。グリチルリチンで表面修飾したリポソ-ムの細胞への取込過程を、1)細胞表面上に一定の結合部位が存在する、2)グリチルリチン修飾リポソ-ムと結合部位は二次速度過程に従って内在化する、3)内在化した結合部位は一次速度過程に従ってリサイクルする、という仮定に基づいてモデリングを行なった。(際田)
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