研究概要 |
ファジィ制御法としてマムダニの方法(minーmaxー重心法)がよく知られているが,必ずしも直観に合った方法でないことから,「代数積ー加算ー重心法」なる新しい推論法を昨年度提唱した。 代数積ー加算ー重心法は直観に合う方法であり,制御結果も大幅な改善が見られた。この推論法により,実用的によく使用されているPID制御が構成できることを示し,PID制御はファジィ制御の特別の場合であることが得られた。この研究を通じて,外押推論なる新しい推論法を定式化することができた。また,代数積ー加算ー重心法においては同じ規則を同時に使用することが可能であり,ファジィ制御規則に強調効果を持たせることができ,制御結果の改善が見られた。また新しい試みとして,ファジィ規則の後件部を負のメンバ-シップ関数で表わされたファジィ集合によって表わすと抑制効果をもたらせることができ,強調の場合と同様,大幅な制御結果の改善が見られる。また,後件部が実数値で重みをもつシングルトン型推論法も提案している。この場合,重みを微妙に変化させると良好な制御結果が見られる。 以上のような経験を基にして,ファジィ制御構築用ツ-ルを開発した。まず,C言語で開発したが,ファジィ変数,メンバ-シップ関数,ファジィ制御規則,ファジィ推論エンジンの取扱が可能であり,倒立振子の実験に使用し,良好な結果が得られた。また,ファジィ制御構築用ツ-ル専用の言語処理系FLILを開発することにより,メンバ-シツプ関数やファジィ制御規則の取扱いが極めて簡単に行えるようになった。
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