本年度実施した研究を報告したい。 1.(1)ゲ-デルの不完全性定理の証明の読解をさらに進めた。 (2)ゲ-デルの証明がいかにして成立しえたか、その存立諸契機を探究し、同時にヒルベルトの形式主義の内的限界を究明した。 (3)形式化の本質と限界の研究を行なった。 (4)具体的な形式化事象の研究として、テ-ラ-の科学的管理法の研究を進めた。 その結果科学的管理法にみる作業組織の機械的システム化はテ-ラ-の孤立した創造になるものではなく、アメリカの兵器廠にはじまるAmerican Way of Manufacturingの生成のなかに位置づけてとらえなければならないことが明らかになってきた。 2.ゲ-テルの不完全性定理と表裏の関係にあるレ-ベンハイム=スコ-レム定理を研究し、その社会領域(特に官僚制論)への適用可能性を探った。 この定理は定義に於ける公理系と標準モデルの関係を明らかにしている。この定理の含意するところは、社会学の様々の分野にあらたな光を投げかけるものと思われるが、その詳細は報告書であきらかにすることにしたい。
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