研究概要 |
本研究は、活性酸素種研究の重要性が化学の領域のみならず、生化学や医学の分野に於いても極めて大きいという立場で行われており、昨年は分子状酸素と溶媒和を受けていないnaked水酸アニオンの反応でス-パ-オキシドアニオンラジカルと水酸ラジカルが生成することを示唆する ^<18>oートレ-サ-実験結果を得た。もし、この様に酸素アニオン種が分子状酸素と反応するのであれば、固体状態のアルコキシアニオンと分子状酸素が反応し、アルコキシラジカルと、O_2^-ラジカルが生成する可能性がある。然し、この反応の逆反応速度の方がはるかに大きく、ほとんどがもとのアルコキシアニオンと分子状酸素を再生するであろう。もし、この反応で生じた酸素ラジカル種が反応して過酸化水素を生じる方向に進むことは十分考えられる。その検証をtーブケルアルコキシドを用いて行った。tーブタノ-ルと金属カリウムから新しく調整したtーB_uOKは5.6×10^<-3>モル%のH_2O_2を含むのみであったが、これを空気中(乾燥条件下)放置したもの、および3つの試薬メ-カ-から購入したものは、いずれも2×10^<-2>〜10^<-1>モル%の過酸化水素を含んでいることが明らかになった。これは予想通り、分子状酸素の一電子還元で生じたO_2^-ラジカルが微量含まれているであろうtーB_uOH存在下不均化して過酸化水素を与えたものと考えられる。これらの事実は酸素塩基が分子状酸素の一電子還元剤として作用することを示唆している。 一方,ス-パ-オキシドアニオンラジカルの生化学的系における検出方法として、ジヒドロニコチンアミドアデニンジヌクレオチド燐実(NADPH)のヒドロペルオキシラジカル(O_2^-の共役酸)開始自働酸化反応を見出した。これはNADPHの340nmの吸収強度の減少速度をス-パ-オキシドディスムタ-ゼ存在下とそれが存在しない場合の二つの条件で測定し、両者の比較から系中のO_2^-濃度を算出する簡便法である。
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