研究概要 |
ライフサイクルステ-ジを考慮した居住地・従業地一括決定モデルの開発とその理論的検討については、関連既往研究調査とその体系的整理を踏まえて、一応の完成を見ている。また.農山村出身住民の居住地・従業地選択行動の実態把握およびライフサイクルステ-ジの変遷特性把握についても、アンケ-ト調査を実施し、その集計整理、分析を終えている。以上の成果として、平成2年7月には土木学会論文集、第419号/IVー13に「農山村過疎地域における転出・帰還行動のモデル化に関する基礎的研究」と題する論文を著した。その主な結論とは、(1)農山村過疎地域住民の転出・帰還行動は、居住地・従業地を一括して決定したものとなっており、非集計行動モデルがその現象をよく説明できる、(2)世帯構成の変化等のライフサイクルステ-ジの進展が転出・帰還行動に伴って現れており、それを明示的に分析するモデル化を行うことができた、(3)転出・帰還行動は過去および将来にわたっての効用を動的に判断しながら行っている、などである。 このほかに、道路整備と交通手段との関連分析の結果を、平成3年10月の第11回交通工学研究発表会論文集に「山間過疎地域における自動車の相乗りおよび送迎に関する調査分析」と題して公表した。主要な結論は,道路整備によって総体的には地域住民のモビリティは高まるものの、公共交通の衰退、同乗交通の増加等も引き起こしている.というものである。さらに本研究課題に関連して、平成3年11月には土木計画学研究・論文集に「世帯における自動車保有履歴から見た自動車複数保有化の構造分析」と題する論文を著した。その主な結論とは、(1)世帯における自動車の複数保化はライフサイクルステ-ジによって異って現れている、(2)自動車の使われ方もまた同様である、(3)ライフサイクルステ-ジは自動車複類保有化そしてその交通行動に密接に関連している。
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