農山村過疎地域住民の転出・帰還行動が、ライフサイクルステージの変化を伴って現れ、過去から将来にわたっての効用の動的評価のもとに、居住地・従業地一括選択行動として行われることを明らかにし、またそのモデル化を図ってきたところであるが、本年度、特に力を入れて分析したのは、そのモデルによる定住施策評価という課題であり、そしてまた全般的な政策課題の整理と検討を行うことであった。 その成果として下記のことを挙げることができる。 1.過疎地域における人口流出・帰還モデルによる種々の定住施策の評価、とりわけ農山村・都市間の通勤条件、交通条件の整備効果分析を行い、その評価構造を把握するとともに、定住化との関連性を明らかにした。 2.過去の社会基盤整備の実績に基づき、経年的にモデルを適用し、各時点での適合性を検討するとともに、各変数の操作による感度分析を行った。この分析によれば、やはり農山村・都市間の相互関連性を表す指標の説明力、有意性が高いことが明らかとなった。 3.過疎地域における社会基盤整備とその結果としての人口流出・帰還との全般的な関連の把握に基づいて、過疎地域における定住政策課題の整理を行った。 4.本年度は、本研究課題の最終年度に当たるため、既往研究の整理を改めて行い、本研究の全体的な構成を再構築し、その報告書の作成の準備を行った。
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