研究概要 |
本研究では、アブラナ科自家不和合性制御遺伝子MODを単離することを目的としている。今年度は以下の実験を行った。 1.昨年度作成したBrassica rapaの高分子ゲノムDNAライブラリーから、MODと連鎖しているアクアポリン遺伝子MLMを起点に、両方向にゲノムウォーキングを行い、約600kbをカバーするコンティグを得た。 2.得た高分子ゲノムクローンから、MODと連鎖するDNAマーカーを新たに作成した。これらのマーカーを用い、自家不和合性の小国カブS8系統(S8,MOD/MOD)と自家和合性のイエローサルソン(YS,mod/mod)の雑種後代約1500個体について解析を行い、MODとMLMとの相対的な位置関係を明らかにした。この情報に基づき、さらにゲノムウォーキングを行い、新たなマーカーを作成した。最終的にMODの極めて近傍に位置するマーカーを見い出した。 一方、既存のB.rapaのゲノム地図にMODを位置付けた結果、MODの近傍に位置するSSRマーカーを見い出した。このマーカーが座乗する高分子ゲノムクローンを単離し、新たにDNAマーカーを得た。新たに得たマーカーはMODと約2cMの距離に存在した。このマーカーと、これまでのゲノムウォーキングより得ていたマーカーとの間にMODを挟むことができた。 3.昨年度開発した、高分子ゲノムクローン上に存在する遺伝子のcDNA単離法を、MODに最も近傍なDNAマーカーを含む高分子ゲノムクローンに対して行い、柱頭、葯、細葉のそれぞれの組織に由来するcDNAを単離した。これらのうち、MODの発現場所と考えられる柱頭特異的発現を示すものについて、塩基配列を自家不和合性/和合性系統間で比較した。
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