研究分担者 |
瀬戸 正弘 東北工業大学, 工学部, 教授 (60085412)
立原 裕司 九州大学, 理学部, 助手 (00227092)
西野 正徳 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 講師 (70023679)
湯元 清文 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (20125686)
坂 翁介 九州大学, 理学部, 助教授 (80108638)
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研究概要 |
本年度は,本研究課題『中緯度から赤道域にわたる超高層大気へのエネルギー輸送と変換過程(3年計画)』の第2年目にあたり,従って本計画の山場にあたる年である.作年の準備が計画通りうまく進んだこともあって本年は予期以上の成果が得られたことをここに報告する. 【新観測点設置】 まず,新しい観測点としてピニョン・フラッツ(アメリカ,カリフォルニア)に1点,ラキラ(イタリア)に1点,シャンボン・ラ・フォーレ(フランス)に1点,計3点の新設観測点が増えた.この内,ピニョン・フラッツとラキラはいずれも地磁気緯度40度で,ハートランド(英国)とヴィクトリア(カナダ)のペアとともに本計画の重要なペア観測点である. また,ニューオルスン(ノールウェー)やシベリア地域にも,新らたに4点(パラワンカ,マガダン,ティキシィ,チョコロダーク)の観測点が設置された. これで計30点の常時観測点が設置されたことになり,本計画の新設計画の90%達成したことになる.これらの高精度の新データから新しい結果が期待される. 【機器開発】 赤道域では観測不調の原因の大部分は電源事情の悪さによるものであった.そこで電源として太陽電池で年間を通して動作させるベく,カシェイラ・パウリスタ(ブラジル)でこの1年間テストをした結果,上々の結果を得たので,本年度は特に電源事情の悪いベレン(ブラジル)に太陽電池を設置し,本観測態勢に入った.来年度はこのシステムを更に拡張する予定である. 【科学上での成果】 1.Pi2の出現は,オーロラの発生と密接な関係にあることは従来からわかっていた.しかし,本調査研究から,このPi2はオーロラと全く一々対応をしていることがわかった.これは極地観測からは推察し得なかった結果である. 2.従来,地球磁気圏がULF波動にたいして空洞を形成するという考えが定着していた.理論などもこの前提で議論が展開されてきた.しかし本調査研究により,この前提が誤っていることが示された.これは,これからの磁気圏物理学の考え方に大きな影響を与えるものである. 以上の結果は,従来の極地研究からだけでは得られなかった結果であり,本赤道域研究から初めて得られた赤道研究固有の結果である.
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