研究課題
平成3年度は考古学・文献学班が渡航し、計画案に準拠した調査・踏査を実施しました。インド共和国U.P.州に所在するマヘ-ト(舎衛城)遺跡については、インド政府考古局(A.S.I.)との協議・検討の結果、共同で遺跡北西部に位置する「太陽の池」地点を中心とした地域を主たる調査対象地に選定しました。調査は当該地域の東西約300m×南北300mの範囲について繁茂する樹木を伐採・清掃するとともに、併せて、全域について写真撮影の実施および現況地形実測図(1/200)を作成しました。さらに、平成4年度の本格的発掘調査に備えて、伐採・清掃の結果地表面に露呈した遺構・遺物について、詳細な記録を作成しました。なお、現地での協議の結果、インド政府考古局調査隊は次年度の発掘調査に備えて、文化層序の垂直的な堆積状況を把握するため、2ヶ所で小規模な発掘壙を設定し、試行的な発掘調査を実施しています。これらの概要については概要報告書としてまとめ、5月下旬にインド政府考古局および関連機関に提出送付することになっています。なお、現地調査に先行して、当該遺跡に対する既往の調査報告・記録が収蔵・保管されている大英図書館、旧インド省資料館等で資料収集を実施しました。また、既往の調査で多量に出土し、今回の調査でも出土が想定されるシ-リングについて、主としてその刻文の解釈を意図し、ネパ-ル王国、インド共和国内の類別について調査・研究しました。なお、平成4年度は今年度の調査成果を前提にインド政府考古局と共同で、11月中旬より約2ヶ月間にわたり、「太陽の池」を囲繞するかのように散在する建築遺構の本格的発掘調査を実施する予定です。
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