研究課題
平成4年度は考古学・地理学班が渡印し、計画案に準拠した調査・踏査を実施しました。(1)考古学班は前年度に実施した測量調査の成果を前提として、インド政府考古局と協議した結果、本年度は遺構の集中が予測できる「太陽の池」の西方(インド政府考古局担当)および南方(日本隊担当)に試掘溝を設定しました。試掘にあたっては、できるだけ広範囲に発掘し、遺構の水平・垂直的分布の傾向を把握するとともに、遺跡年代の上限を確認することを目的としました。結果として、発掘区全域に窯成煉瓦積の建物遺構を検出できましたが、調査範囲と発掘面積が限定されるため、その規模や機能を特定するには至っていません。遺物についてみると、北部インドを中心に西暦紀元前一千年紀の指標とされる北方黒色磨研土器(Northern Black Polished Ware)を中心とした良好な土器(群)が多量に出土し、編年研究を大きく前進させる資料と推断できます。また、現状では2片のみですが、灰色彩文土器(Painted Grey Ware)も出土しており、マヘート遺跡の上限時期を特定できる可能性があります。平成5年度は発掘区域を拡大し、今次調査区域の全貌把握に向け調査を推進します。(2)地理学班はサヘート・マヘート遺跡を取り巻く自然環境が遺跡の拡張や消長に与えた影響を探究することを目的として、自然環境調査を実施した。調査では、地形・地質学的観察のほか、トレンチや遺跡内から採取した各種サンプルの分析・検討から理化学的方法による年代測定をとおして、遺跡立地の成因を追求します。なお、平成3年度調査にかかる概要報告はインド政府考古局に送付済(平成4年7月)で、同様に今年度調査の概要報告も平成5年7月に今年度調査申請書とともに提出予定です。
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