研究課題/領域番号 |
03041093
|
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
江口 一久 国立民族学博物館, 第三研究部, 助教授 (90045261)
|
研究分担者 |
宮本 律子 聖霊女子短期大学, 英語科, 講師 (30200215)
PHILIPS John 秋田経済法科大学, 法学部, 助教授
嶋田 義仁 静岡大学, 人文学部, 助教授 (20170954)
|
キーワード | 西アフリカ / 言語政策 / 文化変容 / 仏語圏 / 英語圏 / ハウサ語 / キリスト教 / イスラム教 |
研究概要 |
仏語圏諸国のマリ、ニジェ-ル、ト-ゴ、カメル-ンのいずれの国においても、大なり小なり経済危機におちいり、国民はフランス語による教育費の負担を重荷に感じはじめており、フランス語による言語文化の創造とは、ほど違い状態にあるといえる。 ト-ゴ、カメル-ン南部に住むキリスト教徒のあいだでは、内陸部のマリ、ニジェ-ル、カメル-ン北部のイスラム教徒たちのあいだより、フランス語の修得度がたかく、いわば、南北較差が生じはじめてきており、フランス語の与える影響にも南北差がみられる。 キリスト教徒の住む「南」では、フランス語が家庭、社会へ深く浸透しており、イスラム教徒の住む「北」より比較的高収入のおかげで、物質文化面でも、かなりの西欧化がみられる。それに比べ、イスラム教徒の住む「北」では、コ-ラン学校を中心とする、アラビア語教育がさかんで、フランス語とアラビア語がしばしば天秤にかけられる。かれらの多くは、フランス語を学んでも、収入につながらないばかりか、宗教生活に役立たないので、フランス語学習に否定的でもある。 同じく「北」に属するナイジェリア北部でも、植民地経営者たちは、現地人大衆にすすんで英語を教えないで、行政をハウサ語でおしすすめようとした。そのため、ハウサ語が、広く、深く使われることになった。ハウサ語の出版物も数多くみられる。逆に、ハウサ語以外の少数言語がハウサ語に圧迫される結果をまねいた。ここでは、英語とアラビア語の対立は、みられないと考えられる。 以上のように、英語圏と仏語圏では、言語文化に大きな差異がみられるということがわかった。
|