アルタイ・天山地域における遊牧の歴史の歴史民族学的研究

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03041096
• 研究機関: 国立民族学博物館
• 研究代表者: 松原 正毅 国立民族学博物館, 第一研究部, 教授 (30110084)
• キーワード: アルタイ山脈 / 天山山脈 / カザフスタン / 歴史民族学的研究な調査研究 / カザフ族 / モンゴル族 / 遊牧生活 / 新疆

研究概要

平成4年度においては、アルタイ山脈・天山山脈を中心に新疆およびカザフスタン東部において遊牧についての歴史民族学的な調査研究をおこなった。調査隊を民族班(松原、楊-現地参加)と歴史班(浜田、堀、林、庄司)にわけてそれぞれ調査活動を遂行したがカザフスタン滞在の期間は合同で調査にあたった。
民族班では、アルタイ山脈・天山山脈の夏営地に滞在するカザフ族とモンゴル族について、住みこみ調査をともなう歴史民族学的な調査をおこなっている。その結果、さまざまな新しい知見を獲得することができた。とくに、情報の空白地帯となっていたこの地域の遊牧生活および社会構造について、詳細な資料を入手した。これらの資料により、さまざまな社会的変動にともなう影響をうけながらも、遊牧生活が活発にいとなまれていることが明確になった。
カザフスタン東部のカザフ族の遊牧生活の現状については、これまでまったくといってよいほど情報がなかった。今回の調査によって、この情報の空白をいくぶん埋めることができた。カザフスタンにおいては、遊牧民の定住化と集団化政策が強力に推進された結果伝統的な遊牧生活は多大な変化をとげている。
歴史班は、主としてアルタイ山脈・天山山脈を中心とした歴史的な遺物、遺跡、文書などの調査にあたった。そのなかには、今回の調査であらたに発見されたアラビア語碑文やカザフ語碑文、遺跡などもふくまれている。これらの資料については現在研究中で、多大な成果のもたらされることが期待できる。
アルタイ地域を主要な対象とした遊牧についての歴史民族学的研究は、今後継続することによって、さらに資料を畜積し、この分野におけるあらたな地平を切りひらく研究へと展開してゆくであろう。

研究成果

• [文献書誌] 松原 正毅: "「変革へ地穀変動が進行中」" 『朝日新聞』. 10 23夕刊. (1993)
• [文献書誌] 松原 正毅: "「草原の風」" 『月刊百科』平凡社. 6月号. (1993)
• [文献書誌] 濱田 正美: "「聖者の墓を見つける話」" 『国立民族学博物館研究報告別冊』.
• [文献書誌] 林 俊雄: "「古代テュルクの石人にみられるソグドの影響」とくに手指表現に焦点をあてて" 『創価大学人文論集』. (1993)
• [文献書誌] 林 俊雄: "「北方ユーラシアの大型円墳」" 『平井尚志先生古稀記念考古学論攷』大阪・友政考古学会. 第2集. 163-197 (1993)
• [文献書誌] 堀 直: "地域からの世界史第6-内陸アジア-" 『朝日新聞』. 6. 157-178 (1992)
• [文献書誌] 堀 直: "「カシュガル旧城居住街区の点描」" 『甲南大学総合研究所草書』26. 37-56 (1992)
• [文献書誌] 庄司 博史: "「中国における青海土族と土族語研究」" 『民博通信』.
• [文献書誌] 松原 正毅: "「変革へ地穀変動が進行中」" 『朝日新聞』. 10 23夕刊. (1993)
• [文献書誌] 松原 正毅: "「草原の風」" 『月刊百科』平凡社. 6月号. (1993)
• [文献書誌] 濱田 正美: "「聖者の墓を見つける話」" 『国立民族学博物館研究報告別冊』.
• [文献書誌] 林 俊雄: "「古代テュルクの石人にみられるソグドの影響」とくに手指表現に焦点をあてて" 『創価大学人文論集』. 第5集. 27-44 (1993)
• [文献書誌] 林 俊雄: "「北方ユーラシア大型円墳」" 『平井尚志先生古稀記念考古学論攷』大阪・友政考古学会. 第2集. 163-197 (1993)
• [文献書誌] 堀 直: "地域からの世界史第6-内陸アジア-" 『朝日新聞』. 6. 157-178 (1992)
• [文献書誌] 堀 直: "「カシュガル旧城居住街区の点描」" 『甲南大学総合研究草書』26. 37-56 (1992)
• [文献書誌] 庄司 博史: "「中国における青海土族と土族語研究」" 『民博通信』.