研究分担者 |
FRANSOIS BAC INRIA, 主任研究員
GUY FAYOLLE INRIA, 研究室長
TATSUYA SUDA カリフォルニア大学, アーハイン校, 助教授
YECHIAM YEMI コロンビア大学, 工学部, 準教授
MISCHA SCHWA コロンビア大学, 工学部, 教授
河野 浩之 京都大学, 工学部, 助手 (70224813)
滝根 哲也 京都大学, 工学部, 助手 (00216821)
高橋 豊 京都大学, 工学部, 助教授 (00135526)
尾家 祐二 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (50167293)
西尾 章治郎 大阪大学, 工学部, 教授 (50135539)
宮原 秀夫 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (90029314)
FAYOLLE Guy Director of Research Group, INRIA
SUDA Tatsuya Associate Professor, University of California, Irvine Faculty of Engineering
YEMINI Yechiam Associate Professor, Columbia University, Faculty of Engineering
SCHWARTZ Mischa Professor, Columbia University, Faculty of Engineering
FRANCOIS Baccelli Senior Researcher, INRIA
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研究概要 |
平成4年度においては,情報ネットワークにおける将来の課題である広帯域ISDN,FDDI,ATM通信等の数学的モデル化および性能評価手法の世界的な視野での理論の到達度,必要性に関する情報交換を前年度に引続き行い,具体的なテーマに関する共同研究を進展するに必要な理論的検討を行なった。本年度は,海外から1名の研究者をカリフォルニア大学から招聘し,また研究の進展に伴う打ち合せおよびさらなる研究テーマの検討のためにカリフォルニア大学へ合計3名を派遣した。 得られた具体的成果としては,主に次のようなものがある。 1.マルチメディア環境でのATM網におけるバースト性を考慮したセル到着トラヒックモデルの確立およびこれを基にした待ち行列モデルの解析法の開発を行った。モデルは,セル到着に関するバースト性を集団到着をも許す2状態のマルコフ過程で表現し,この待ち行列モデルを解析した。これから交換機内の待ちセル数,遅延等の諸量が導出された。なお得られた結果は従来得られている待ち行列理論の種々の結果を完全に包含し,拡張したものになっている。(高橋,滝根) 2.ATM交換機における多種メディアからのセルを有限サイズのバッファに収容するためのバッファリング法の提案および比較評価法の確立を行った。今年度はバッファ内のセル数が容量に達したときに,セル廃棄を先着順および後着順に行う場合の比較を行った。(高橋,滝根) 3.FDDIにおける時間制約付きトークンプロトコルをサイクルタイムに上限のあるポーリングモデルとして数学的にモデル化を行い,解析を行った。さらにこれを拡張し,優先権のある場合に関しても考察した。これにより単一のFDDIが,一定の通信品質を保持しながら収容し得るマルチメディア端末数,異種メディアのトラヒック源の数,トラヒック量,ネットワーク規模等が定性的・定量的に把握可能になると思われる。(高橋,滝根) 4.ランダム多重アクセス方式における通信プロトコルとして,木型アルゴリズムに基づく予約機構付きTree-DTA方式を提案し,その性能評価を行った。(西尾,河野) 5.通信ネットワークにおける端末間の接続可能性,バースト性のあるトラヒックの発生,ネットワーク間の物理的接続可能性および論理的ドメイン間の接続可能性,さらにネットワークのトラヒックに関するルールを学習アルゴリズムを基に求める一方法を提案した。(西尾,河野) 6.高速バケット交換網におけるノンブロッキング型の交換機の入力バッファおよび出力バッファのサイズが交換処理能力およびパケット損失に与える影響を解析的に考察した。これによりATM交換機のバッファに関する効率的な設計が可能になると思われる。(宮原,尾家) 7.高速パケット交換網における一方的なネットワーク内の輻輳状態を円滑に解除するある種の送信制御手順に関し,その過渡的振舞いを定量的に把握するための解析法を示した。(宮原,尾家) 8.光ファイバーを用いた高速LANにおいて,次代のプロトコルとして注目されているCRMAのモデル化および解析を行った。このプロトコルにおいては,メッセージの到着過程とその処理過程の間の相関性が生じる点で他のプロトコルの確率的振舞いが異なり,新たな解析が必要であった。待ちメッセージ数に関する関係式を導出し,送信遅延等の定量的評価が可能となった。この数学的モデルはCRMA以外にも多くの応用例を含んでおり理論化にも幅広い汎用性を有している。(高橋,滝根)
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