研究課題/領域番号 |
03044091
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小野 善康 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70130763)
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研究分担者 |
ラヒリ サジャール エセックス大学, 経済学部, 教授
イートン ジョナサン ウ゛ァージニア大学, 経済学部, 教授
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キーワード | 寡占 / 自主輸出規制 / GATTル-ル / 対外資産・債務 / 経済厚生 / 動学的貿易理論 |
研究概要 |
ラヒリ教授とともに、競争的部門と独占部門の並存する開放経済において、両部門の技術進歩の経済厚生水準への効果を分析した。その結果、同じコスト減少技術を比較すると、独占的な部門の技術進歩の方が、その経済厚生により大きく貢献することが示された。また、競争的部門と寡占的部門とが並存する2国モデルを構築し、寡占部門の存在する経済での貿易理論の再構築を行った。その結果そこでは、貿易によって要素価格均等化定理が成立し、また通常の貿易利益が存在すると同時に、各国の寡占部門における独占度を低下させるという、貿易利益の新たな側面が明らかにされた。 また、イ-トン教授とともに、国際貿易ル-ルのない経済にGATTにおける限定的報復を許す緊急輸入制限条項を導入することによる影響、さらにそれに加えて自主規制というGATTの枠組みを越えたル-ルを導入することによる影響を、無限段階政策決定ゲ-ムを構築して調べた。その結果、緊急輸入制限条項の導入は自由貿易体制におおむね貢献するが、輸出国の制限と輸入国の報復という二重の制限に陥る可能性があることも示した。さらに、自由規制もさらに不要な非効率を防ぐ場合があることがわかった。 また、池田新介(神戸大学助教授)と主観的割引率の違う多国モデルを使って、各国の対外債務の動学的経路を調べ、それが多様な形を持ちうることを示した。また、柴田章久(大阪市立大学助手)とともに、2国モデルにおいて企業の最適資本蓄積行動および家計の最適貯蓄行動を定式化して、各国のマクロ経済政策や技術進歩等が、自国および外国の厚生水準に与える影響を調べた。その結果、債権国の技術進歩は、債務国の厚生を引き下げてしまうこともわかった。
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