研究概要 |
1)リコンビナントオステオポンチン(rOP)の分離:マウスおよびヒトOPcDNAを種々のベクタ-で発現を試みた。マウスではpETで発現をみたが、発現が弱く、利用出来る程のrOPは得られなかった。現在、他のベクタ-で発現を試みている。ヒトではpETで大量発現し、これをHPLCで精製した。さらにGRGDSのDをEに変異させた蛋白の発現を試みている。2)rOPによるガン細胞の接着実験:BSA,OP,フィブロネクチン(FN),合成ペプチドGRGDSを塗布乾燥したマトリクスを用いてB16およびMφ株P388D1の付着を観察し、rOPにはFNに匹敵する活性が存在することを確認した。OP処理B16細胞のOP,FN,GRGDSに対する付着の抑制がおこることも観察した。3)ハプトタキシス(HT)におけるrOPの作用:rOP処理ポリカ-ボネ-ト膜(孔径5〜8μ)でのB16のHTは見られない。GRGDSも同様である。FNには濃度依存的にHT活性が見られる。FN処理膜を用い、Boyden装置の下室にrOPを入れるとHTの抑制が認められた。FN処理膜をrOPで再処理すると強い抑制が見られた。また、B16をrOPで処理した場合にもHTの抑制が見られた。現在肺転移巣から高転移性クロ-ンの選別を行っており、rOPを用いたin vivo実験はこれを用いて行う予定である。また、抗rOP抗体を作成し、特異性を確認した。4)OPトランスジェニックマウス(TM)の作成:メタロチオネインプロモ-タ-を連結したマウスOP遺伝子を作成し、BALB/cマウスのTMを作出中である。すでに数匹の出産をみたが、ゲノムDNAのPCRによる検定はこれからである。5)OP遺伝子の発現機序解析:すでにマウスOPゲノム遺伝子の転写開始部上流約3kbの塩基配列を決定した。また、ヒトOPゲノム遺伝子の塩基配列の検索も行っている。これらのプロモ-タ-領域をクロラムフェニコ-ルアセチルトランスフェラ-ゼベクタ-に入れ、ガン細胞における特異的転写およびTPAによる転写亢進に関与するシスエレメントを検討している。
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