研究課題/領域番号 |
03152115
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
川添 豊 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (80106252)
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研究分担者 |
貝谷 トヨ 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (10080201)
坂上 宏 昭和大学, 医学部, 講師 (50138484)
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キーワード | リグニン / BRM / 抗菌性 / 抗ウイルス活性 / 合成リグニン / 好中球 / マクロファ-ジ |
研究概要 |
本研究では、天然、及び合成リグニン、更に、構造化学的に類縁のポリフェノ-ル性化合物について、新しいタイプのBRMとしての可能性を検討した。 1.パラクマ-ル酸、フェルラ酸、及び、カフェ-酸を脱水素重合して合成した合成リグニン類が好中球のヨ-ド化能を異常にこう進させる事から、これらの化合物は、何等かの機構によって好中球を活性化する事が示唆された。同様の作用が天然のリグニンや、ポリフェノ-ル誘導体であるタンニン類にも見出だされた。 2.合成リグニン類の抗HIVー1活性をMTー4細胞を用いて検討したところ、IC_<50>は数μgから10μgであり、LC_<50>(細胞毒性指数)/IC_<50>(抗HIV活性指数)の比は、50〜100であり、極めて有望な結果である。現在、重合の反応条件、及び、生成した重合体の化学修飾を行う事により、より有効な誘導体を検索中である。インフルエンザ、肝炎ウイルスなどへの効果についても検討中である。 3.合成リグニンおよび天然リグニンを培養系で、単球やマクロファ-ジに作用させると、TNFおよびILー1の産生を著しくこう進させる事を見出だした。現在、その機構について検討中である。 4.米松の一種であるslash pineの熱水抽出によって得られるリグニン分画に強い抗菌活性が認められた。本エキスをiv、imなどのル-トでマウスに投与すると、これらの動物は、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌、肺炎菌などによる致死的感染に対して抵抗性を獲得する。投与2日後に抗菌活性のピ-クがある事などから、多形核白血球やマクロファ-ジなどによる初段の宿主抵抗性を活性化する事が示唆された。今後、これらの機構を明らかにすると同時に、癌患者の日和見感染症や老人性肺炎などへの適用についても検討する。
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