研究分担者 |
斉藤 泰弘 京都大学, 文学部, 助教授 (70115848)
片山 英男 東京大学, 文学部, 助教授 (70114436)
伊藤 博明 埼玉大学, 教養部, 助教授 (70184679)
西本 晃二 東京大学, 文学部, 教授 (00012352)
岩倉 具忠 京都大学, 文学部, 教授 (50093191)
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研究概要 |
以下,研究成果報告集にまとめられた課題研究の概要を述べる。先ず西本晃二は,聖トマスの著作がイタリアの13世紀後半の自治都市(コムーネ)的現実を反映したものであることを,トマスの都市観,商業観,利潤観などの分析を通じて明らかにした。こうして人間の自然的側面としての経済に関する前ルネサンス的見解を解明した。片山英男は東京大学総合図書館所蔵のバルツィッツァの『緒言集』に関する詳細な文献学的分析を通じて,この著作が伝キケロの『ヘレンニウス宛弁論術』の教説を書簡へ応用しようとしたものであることを明らかにした。こうしてルネサンスのキケロ模倣の初期の唱道者であるバルツィッツァの具体的活動が示された。伊藤博明はピコ・デッラ・ミランドラの自然魔術におけるユンクス(呪力)の概念を歴史的に解明した。加藤守通は,ブルーノにおける神と宇宙との関係を,超越的な面と内在的な面とが共存し,その間を揺れていると論じている。清瀬卓はルネサンスにおけるecdoticaの展開から説き起こし、今までわが国で研究されなかったランディーノの詩人としての生涯を明らかにした。根占献一は,メディチ家に庇護されたフィチーノによるプラトン・アカデミーと,メディチ家に多少とも批判的であったベルナルド・ルチェッライによる「ルチェッライの園」とを取り上げて,ルネサンスにおける庭園の政治的文化的意義について論じている。本田誠二はレオン・エブレオの『愛の対話』におけるユダヤ的自然観を分析した。榎本恵美子はカルダーノの自伝と『夢の書』を手掛かりとして,彼が夢を天体の影響力によるものと考えていたことを明らかにする。佐藤三夫はルネサンス・ヒューマニズムの展開を,フランスを中心とした中世文化とイタリア古来の伝統的文化との総合と見て,その総合が幼少のころから国際的な仕方で旅することを課せられたペトラルカによって,典型的に具体的に遂行されたことを解明した。
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