研究課題
1.八丈小島(鳥打遺跡)の調査旧鳥打村の比較的海岸に近い平坦地、戸隠神社の末社を中心に広がる石組遺構を主体に調査を実施した。石組は概して0.3×0.3M程度の空間を設け、その中に柄鏡・鉄製の鎌(模造品)・古銭・陶磁器といった遺物を収めていることが判明した。石組は単独に構築されず、多くは数基がまとまって一つの単位をなしている事が判明した。石組に奉納された遺物から、現時点では具体的な祭神名は判明していない。個々の遺物に関しては、現在整理途上ではあるが、17世紀から19世紀にわたる肥前系陶磁器、瀬戸美濃系陶器、常滑系陶器、柄鏡、ガラス鏡、青銅製御幣等の遺物が多量に検出されている。また、旧鳥打村に接する宇津木村にも同時期の祭祀遺跡知られており、今回の調査時に並行して実施し、類似した遺構・遺物を検出している。2.三宅島中郷に所在する積石塚の調査調査対象とした積石塚からは、既に一面の和鏡(蓬菜図方鏡)が検出されているが、今回再度塚の構造と新たな遺物の検出を目的として実施した。開墾時において地下に遺存していると考えられていた石組遺構は一部分を残し既に崩壊していたが、整然とした石組が構築されていた痕跡はなく、円礫を部分的に積んだ遺構とサンゴ塊・陶片を検出しただけであった。塚全体の構造は、地上部分が殆んど残存しないため形状等に関しても全く不明確であるものの、ほぼ不整円形を呈していたものと考えられる。又、所見からは内部構造を有しない土と円礫によって構成される単純な構造であったことが推察できる。特に塚の構築年代とも係わるが、17世紀代の摺鉢陶片を円礫と共に検出しており、塚と和鏡との時代的齟齬に疑問が生じている。
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