研究課題
それぞれの項目の中、代表的な研究成果のみを記す。1.大腸菌に熱ショックを与えると、細胞内のσ^<32>濃度の急激な上昇により熱ショック遺伝子の転写が誘導される。これは、翻訳レベルでのσ^<32>合成の促進とσ^<32>の安定化によることが明らかになった。また、熱ショック応答の収束には、反応産物DnaK蛋白質などが関与する負のフィードバック機構によることが示唆された。2.熱ショックによるDNAの弛緩にはDNAトポイソメラーゼIの他にDNAジャイレースが関与することを精製した酵素を用いた実験から明らかにした。3.出芽酵母で高温でのみ必須な遺伝子をトランスポゾンによる遺伝子破壊法で破壊し、高温致死性変異株を単離した。これらの中に、マイナーなアルギニンtRNA遺伝子の欠失、<SSCI>___-遺伝子の誘導欠損、ミトコンドリアの機能欠損など、を同定した。4.ストレス蛋白質HSP47が分泌経路においてコラーゲンに結合し、そのプロセッシングと3本鎖形成を補助する分子シャペロンであることを明らかにした。また、熱ショックによってHSP47のmRNAのスプライシングが変化することを見いだした。また、大腸菌のペリプラズム因子DsbA(PofA)がS-S結合形成を直接触媒することを示し、またペリプラズム空間を酸化的環境に保つ役割をもつことを提唱した。5.主要なストレス蛋白質HSP90のカルモデュリン結合ドメインを同定した。HSP90のカルモデュリン結合ドメインは、同一分子内の別の部位と相互作用していることを見いだした。酵母HSP90の温度感受性変異株を単離し、構造と機能の解析を行った。
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