研究分担者 |
星 正治 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (50099090)
松原 升 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (40014120)
鈴木 文男 金沢大学, 薬学部, 助教授 (10019672)
澤田 昭三 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (60034625)
桧枝 光太郎 立教大学, 理学部, 教授 (20062656)
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研究概要 |
1.低エネルギ-放射線の領域開発と初期過程の解析: 京都大学放射線生物研究センタ-の特性X線発生装置を用いて、Cu,Cr,Al,CのKーX線を発生させることに成功し、エネルギ-と線量の決定を行った。また、それを用いて染色体異常の形成を調べ、エネルギ-の低下と共に形成効率が増大することを明らかにした。さらに、高エネルギ-物理学研究所放射光実験施設においてリンの殻吸收端エネルギ-の単色X線の照射が可能となり,イ-ストの突然変異、マウス培養細胞の染色体異常を調べ,世界に先駆けてリンの特異的光電吸收が生物効果を増大することを明らかにした。また,硫黄のK殻吸收端のエネルギ-のX線を利用し、硫黄を含むアミノ酸の解離が光電吸收の起る硫黄原子近傍の結合部位で起ることを明らかにした。 2.低エネルギ-放射線の生物効果: 核分裂中性子を各種の遮蔽体でそのエネルギ-スペクトルを加工し、細胞に対する致死効果、染色体異常の形成率を調べた。その結果,生物効果はエネルギ-の変化に不応であることがわかった。この現象を利用して広島原爆の中性子線量を評価すると、現在用いられている線量体系から推定されるより高い中性子線量でないと広島・長崎の生物効果の違いは説明できないと推論された。赤血球の膜表面抗原(GPA)、T細胞抗原受容体の突然変異をセルソ-タ-で検出する方法を開発し、原爆被曝者、放射線治療、トロトラスト注入患者で検討した結果、線量評価の方法として優れていることがわかった。 3.医学における問題点: 造影剤として用いられている沃素化合物が低電圧X線による光電吸收のため生物効果を増大させていることが,リンパ球の染色体異常を指標とした検討の結果明らかとなった。治療効果増強への利用も期待される。
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