研究課題/領域番号 |
03402005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
江尻 宏泰 大阪大学, 理学部, 教授 (80013374)
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研究分担者 |
田中 純一 大阪大学, 理学部, 助手 (70236595)
佐野 弘和 大阪大学, 理学部, 助手 (00205999)
大隅 秀晃 大阪大学, 理学部, 助手 (70176882)
岡田 憲志 京都産業大学, 理学部, 助教授 (90093385)
岸本 忠史 大阪大学, 理学部, 助教授 (90134808)
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キーワード | 二重ベータ崩壊 / 暗黒物質探索 / ニュートリノ質量 / 右巻弱相互作用 |
研究概要 |
高感度二重ベータ崩壊核分光器ELEGANTS Vの改良のために作成したα線検出用ドリフト箱の性能テストを行なった。基本性能は宇宙線(シュー粒子)に対し検出効率95%以上、プラトー幅100V, ^<241>Amのα線に対し検出効率90〜95%と十分な値である。ドリフト速度は約2.5cm/μsecであった。 ^<100>Moの二重ベータ崩壊について娘核の励起状態への崩壊について解析を行なった。0^+→2^+への崩壊モードではニュートリノの出ない二重ベータ崩壊(ODββ)に対し半減期の下限1.1×10^<21>年を得た。これは世界で最も厳しい下限値であり、これから弱相互作用中の右巻成分の混合比に対し最も厳しい制限を与えることができる。この半減期の下限より、右巻成分の混合比を求めるためには原子核内構造因子の理論計算値が必要であるが,現在までに信頼できる計算値がなく、理論分野での進展が待たれている。ニュートリノを伴う二重ベータ崩壊(2νββ)に対しては半減期の下限68×10^<20>年を得た。又試料を交換し ^<116>Cdの二重ベータ崩壊の測定を行ない、2νββの観測に成功した。測定時間1074時間で2νββの半減期2.2×10^<19>年(予備的)を得た。又観測したエネルギースペクトルは計算値と非常によく一致している。0νββについてはニュートリノ質量に依る項に対し半減期の下限1.7×10^<21>年を得た。これはニュートリノ質量に対し17eV以下の制限を与える。弱相互作用の右巻成分による項に対しては半減期の下限9.2×10^<20>年を得た。これは右巻成分の混合比に対し2.9×10^<-5>以下の制限を与える。0νββに対する感度向上のための改良を行い、現在測定継続中である。ELEGANTS Vを構成する大型NaI(ヨウ化ナトリウム)検出器を用い、宇宙暗黒物質の中でスピン結合型の弱相互作用粒子探索の研究を行なった。20本のNaI検出器のうち雑音の少ない9本を用い、ノイズ5keV以下バックグランド5cpd/kg/keVと極めて低い値で測定可能であることを明らかにした。
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