研究概要 |
防除法の発達した現在においても、植物病害は猛威をふるい、農作物に被害を与える。この場面で植物病原菌は毒素等を生産し宿主を倒すが、宿主である植物側もファイトアレキシン等の抗菌物質を産生して防御している。本研究課題はこれらの相互作用物質に着目し、年限内にそれらの化学構造、作用機作、防御機構を明らかにすることを目的としている。本年度の成果は以下の通りである。 1.バレイショ夏疫病菌の培養液より、新規アルタナル酸関連化合物の検索を行い、新たに10-デオキシアルタナル酸、10-デオキシジヒドロアルタナル酸、10-デオキシ-6,8,9,19-テトラヒドロアルタナル酸(10E)-10,11-デヒドロ-6,19,-ジヒドロアルタナル酸、10,11-デオキシ-6,19-ジヒドロアルタナル酸の5種の新規化合物を単離した。アルタナル酸関連化合物について構造-活性相関研究を行い、C-10位の3級水酸基やC-6位のエキソメチレン基は植物毒性の発現に重要なことが示された。 2.さくら胴枯病菌から得られた新規化合物について植物毒性試験を行った。 3.マメ科に属する数種の植物より多数のストレス化合物を得て、これらの構造を確定した。 4.ヒノキ漏脂病菌より、ヒノキ鱗片葉に活性を有する新規ステロールア〓〓〓〓〓〓〓〓〓を単離し、その構造を確定した。絶対配置については改良Mosher法ならびに円二色性スペクトルにより決定した。 5.トマトの宿主特異的毒素AAL毒素について分解反応を行い、C-2の絶対配置を決定していたが、今回C-4,C-5に可能な4個の立体異性体を合成し、^1H NMRの比較により、C-2,C-4,C-5の絶対配置をS,S,Rと推定した。
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