研究概要 |
個体レベルの研究。 睡眠への影響:テレメ-タ-によって測定された脳波を、新規に購入した脳波解析装置を用いて、ラットの正常睡眠パタ-ンの解析を開始した。24時間の脳波を集録、解析している。今後、ストレス時や種々のサイトカイン投与後の脳波を解析し、これらの刺激が覚醒時や睡眠時に脳波の活動状態にどのような影響を及ぼすかについて検討する予定である。 神経系から免疫系活動への影響:無拘束の動物に、ケ-ジ交換ストレスという比較的軽度なストレスを負荷した際に発現する発熱反応や循環器系の反応に自律神経系やCRF,ACTHといった内分泌系がそれぞれどのように関与しているか,テレメ-タ-を用いて検討を行った。その結果,ストレス時に観察されるこれらの反応には,中枢神経系内のCRFがストレス反応発現に重要な役割を担っているニュ-ロペプタイドの1つであり,またこのCRFは中枢神経系内のアドレナ-ジックな系を介して種々の反応を引き起こしていることが分った。次にストレス時に生じる発熱反応や循環器系の反応と,ILー1投与によって生じるこれらの反応とを比較し、サイトカインがストレス時と同様な内分泌系及び神経系の活動を駆動するか否かについて検討した。その結果,ILー1は中枢神経系内のCRFに依存せずに,発熱反応や循環器系の反応を誘導することが明らかになった。今後,ストレス時にサイトカインが中枢神経系内でどのような役割を果しているか,更に検討を加えていく予定である。 分子生物学的研究。 ストレス時及び発熱時のILー1の産生部位を明らかにするため,ILー1βのcDNA及びcRNA probeを作成し,これらを用いてin situ hybridization法による検討を開始した。現在LPS投与後の家免脾臓におけるILー1β mRNA発現亢進と確認したところである。今後,中枢神経系へとその検討を拡げていく予定である。
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