研究課題/領域番号 |
03404046
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
石井 清一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20001000)
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研究分担者 |
小祝 聡一郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90045336)
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キーワード | osteosarcoma / osteocalcin / oncogene / monoclonal antibody / integrin / metastasis |
研究概要 |
ヒト骨肉腫の手術材料から、ヌ-ドマウス移植株3株、組織培養株1株を樹立した。ヒト骨肉腫細胞をBALB/Cマウスの免疫し、ヒト骨肉腫関連抗原を特異的に認識する単クロ-ン抗体2D3、2H3を作製した。生化学的検索の結果、両抗体はアルカリフォスファタ-ゼを認識していた。しかも、両抗体は骨アルカリフォスファタ-ゼと反応するが、肝、腎由来のアルカリフォスファタ-ゼとは反応しないことを確認した。ヒト骨組織から骨中Ca結合蛋白BGPを精製し、その単クロ-ン抗体を作製した。これらの抗体を用い、種々の骨肉腫におけるBGPの局在を酵素抗体法を用いて検索した。BGPは軟骨形成型を含むすべての骨肉腫で検出された。しかし、軟骨肉腫では検出されず、これらの抗体は骨肉腫の鑑別診断に有用であることが示唆された。骨肉腫、骨肉腫細胞株、骨肉腫ヌ-ドマウス継代株からDNA、RNAを精製し、各種癌遺伝子の存在、発現を検索した。2例にcーmycのamplificationを認めたが、それ以外の癌遺伝子のoverexpression、変異などはみられなかった。さらに、PCR法を用い、抑制遺伝子p53の第5、6エクソンのsequencingを行ったが、変異はみられなかった。これらの検索は今後も症例を増やして継続していく予定である。免疫染色法を用い、ヒト骨肉腫におけるフィブロネクチン、ラミニンの細胞外マトリックス蛋白と、それらの受容体(α_1〜α_6)の腫瘍内局在を検索した。骨肉腫16例についてフィブロネクチンとタイプIコラ-ゲンは全例の存在していたが、ラミニンは5例に分布しているのみであった。受容体については、フィブロネクチン受容体(α_4〜α_5)、ラミニン受容体(α_3)の発現が高率にみられた。今後、腫瘍先進部と腫瘍内部、あるいは原発巣と転移巣との間での細胞外マトリックス蛋白と受容体の比較検索を行うことによって、骨肉腫の遠隔転移の機序の分析を進行させたい。
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