研究課題/領域番号 |
03451061
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高田 康成 東京大学, 教養学部, 助教授 (10116056)
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研究分担者 |
山本 史郎 東京大学, 教養学部, 助教授 (00145765)
塚本 明子 東京大学, 教養学部, 教授 (50064233)
本村 凌二 東京大学, 教養学部, 助教授 (40147880)
鈴木 英夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (90109215)
高橋 和久 東京大学, 教養学部, 助教授 (10108102)
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キーワード | 受肉 / 精神 / 政体 / 欲望 / コ-ポレイション / 徳 / 身体性 / ネオプラトニズム |
研究概要 |
英文学に現れる身体性の表象について、おもに考察されねばならない点は、およそ次の三点に絞ることができる。(i)「精神」中心主義的ネオプラトニズムにおけるその有り方、(ii)中世全般におけるキリスト教の「受肉」思想、(iii)中世から近代初期における「政体論」思想、。(i)オネプラトニズムにおける身体性の表象に関しては、まず古典古代のプラトンの『饗宴』『パイドロス』などを中心に考察をすすめ、基本的な比喩・イメ-ジーーたとえば、御者(理性)と馬車馬(身体的欲望)などーーの分析を行ったのち、中世のネオプラトニズムの代表格であるボエチウスとマクロビウスについて考察した。前者の場合、肉体性の表象は女神フォルトゥ-ナにまつわる属性として現れ、後者では、「徳」に関する概念の修正主義的拡張という形で現れている。(ii)キリスト教「受肉」思想については、ダンテの『神曲』を分析の手がかりとし、極めて興味深い「形而上的肉体性」の問題をめぐって考察した。すなわち、キリスト教受肉思想の根本には、普通で言う「肉体」と「精神」の対立関係が解消するような局面を宿していて、「魂・精神」は抽象の次元に留まることなく、究極的には、永遠に朽ちることのない形で捉えられるのである。この超越的な「形而上的肉体性」の概念は、(iii)の「政体論」思想に深く係わり、近代において重要な役割を担う「非身体的身体性」の概念ーー例えば、コ-ポレイション組織などーーを用意したと見ることができる。そして、以上のような事柄を、いくつかの具体的作品を通じて具体的に検証してみた。
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