新しい学習指導要領の算数・数学科では、「論理的思考力の育成」、「数学のよさや美しさを感得し、意欲的に学習する態度の育成」、さらに「情報化社会に対応できる能力の育成」等を主眼とした改定が行われ平成4年度の小学校から順次施行されるようになった。 これらの目標の達成は、教師の指導理念、教材感、指導方法などによるところが大きく、児童・生徒の学習到達度に短期的・長期的に大きな影響を及ぼすと思われる。 本研究では、算数・数学科の教師の指導理念や指導法についての実態調査を行ない、その結果を明らかにし、諸外国との比較の上で、望ましい教師像や指導法についての知見を得ることを目的とした。 研究当初は、3年計画で、日本、アメリカ、フランス、中国の4か国の共同調査を行うことになっていた。しかし、各国の調整がつかず、本プロジェクト2年目(最終年)になって、共通問題による調査を実施する計画ができた。調査結果の報告は数年後になろう。 IEAによる数学教育調査の結果が発表され国際的な反響をよんでいるが、その中の指導方法に関する日、米、仏の調査結果を詳細に分析・比較して、各国の教師の考えや指導法の傾向等を知ることができた。 さらに、小学校、中学校の算数数学科の教師を対象に「算数・数学の指導に関する質問紙」調査を実施し、その結果を分析検討した。 上記の結果及び研究協力者が指導法・理念等に関する研究を他の学教会誌に公表したものを再録し、100ページの報告書「教師の指導理念に関する調査研究」を作成した。
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