研究分担者 |
梅尾 和則 広島大学, 理学部, 助手 (10223596)
鈴木 孝至 広島大学, 理学部, 助手 (00192617)
溶野 稔一 広島大学, 総合科学部, 助手 (40185103)
藤田 敏三 広島大学, 理学部, 教授 (20004369)
高畠 敏郎 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40171540)
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研究概要 |
セリウム(Ce)やウラン(U)を含む一連の金属間化合物において、fー電子は配位子のS,P,dー電子との混成効果によって、強い電子相関を保ちながら結晶中を遍歴し、低温で重い電子状態を形成する。我々は、ここ数年重点領研究の物質探索によって、特異なエネルギ-ギャップを形成する重い電子系CeNiSn,二重磁気転移を示す近藤化合物CePtSn,異常に重い電子系CeNi_2Sn_2,小さな強磁性成分をもった重い電子系化合物UPdInなどの興味深い物質系を見出してきた。本研究では、これが基底状態で示す種々の特異な物性が、異方的混成効果に起源するものと考え、純良単結晶を育成し、各主軸方向に沿っての多面的系統的物性研究を行うことを企画した。まず、我々は、トリア-ク熔解炉、赤外線加熱炉、高周波熔解炉を整備し、チョコラルスキ-法によって単結晶の育成に着手した。試行錯誤の末、良質なCeNiSn,CePtSn,CePdIn,UPdIn,CeNi_2Sn_2の単結晶の育成に成功した。これら結晶を用いて、電気抵抗P、帯磁率X,熱電能S、磁場中比熱Cp、および超音波吸収による弾性定数の異方性の測定を行った。結果を要約すると、(1)CeNiSnは、斜方晶(εーTiNiSi)のa軸に沿って磁場(H>12T)を印加すると、V字型のギャップが潰れ、半線体から金属へ転移すると同時に重い電子状態が復活することを見出した。一方、同じ結晶構造を示すCePtSnは、Tn=7K以下で、波数ベクトル(α)=(0,0418,0)のインコメンシュレ-ト構造へ、更に、Tt=5.2K以下で、(α)=(0.04.446,0)のインコナンシュレ-ト構造へ転移し、0.3Kでも金属として振まうことを明らかにした。両者の違いの原因は検討中。(2)CePdInとUPdInの物性は極めて対照的な振まい(Pa>Pc,(α)=(0.25,0,0)とPa<Pc,(α)=(0.0.040)を示しており、帯磁率の異方性へは、異方的混成効果が、CePdInでは結晶場効果を補償する方向へ作用し、UPdInでは逆に増強する方向に作用することを明らかにした。現在、CeNi_2Sn_2,CePt_2Sn_2の2〜35/K^2moleにも達する異常に重い電子状態の起源を探る実験を開始している。
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