研究概要 |
(1)実験装置の完成:平成元年度からの自主研究で製作を続けて来た回転円筒流体力測定装置を完成させた。実験装置の製作費や消耗品費の支出増のため、スリップリングは校費で購入した。また、回転円筒の加振変位測定には、非接触電子光学式変位測定装置が来年度の実験(同一の変位測定装置2式で円筒・軸系のふれまわり振動軌跡を測定する実験)にも適していると判断されたので、本装置を購入した。以上より本研究での実験装置が完成され、予備実験よりデ-タの信頼性が確認された。 (2)円筒・軸系を回転させながら、x方向に正弦波加振することができる上記の実験装置を用いて、加振振幅:3mm,加振振動数:4Hzから14Hzまで,回転数:3 ^1/sから30 ^1/sまで,円筒の浸水度30mmの条件で,軸に発生するひずみの直交2成分を測定した。このひずみはスリップリングを介し、A/D変換され,コンピュ-タに取り込まれて、流体力の算出に使用した。 (3)回転円筒・軸系の円筒が半浸水状態でx方向に加振されたとき、軸に発生したひずみの2成分から、加振方向(xー方向)成分を算出し、円筒の慣性力成分を差し引き、流体力のみを算出した。この流体力と測定された加振変位とから、流体力がなす仕事を計算した。これより、流体力のRMS値と回転数,加振振動数との関係を求め、ある加振振動数(4〜8Hz)と回転数(23〜26 ^1/s)とで、流体力のなす仕事が大きくなることを明らかにした。 (4)上記のひずみの直交2成分測定デ-タより、回転円筒・軸系を仮想的にふれまわり加振した場合の流体力のx成分,y成分を求め、これらと仮想ふれまわり変位(x成分は実測,y成分は仮想値)とから流体力のなす仕事を前向きふれまわり,后向きふれまわりについて算出した。この仕事を回転数と加振振動数とに関してマップ化した。これより,ある加振振動数(4〜8Hz)と回転数(23〜26 ^1/s)で、前向きふれまわりのとき、流体力は回転円筒・軸系に仕事をすることが明らかとなり、実際の回転円筒・軸系において、この範囲で不安定振動発生する理由は、本流体力のエネルギ的な解析より明らかとなった。
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