研究概要 |
回転体式空気混入機のような回転機械の基本モデルである立型円筒・軸系が半浸状能で回転する場合,その回転数が危険速度より高いある範囲で自励的不安定振動が発生することを申請者は発見した。円筒・軸からなる振動系が自由液面を有する流体系と相互干渉して,この流体励起の自励振動が発生することを実験的に明らかにした。 1.円筒・軸系を回転させながら、円筒・軸系全体を一定振幅の正弦波加振する実験装置を製作し,回転下での軸に発生するひずみのx,y方向成分を測定した。これと同時に軸の振動変位をも測定し,回転円筒が強制正弦波加振されている状態での流体力を算定した。これらより,流体力が円筒運動(振動)に対してする仕事を,(1)回転数,(2)加振振動数,(3)加振振幅,(4)浸水度を変えて算定した。この仕事の正負が分るマップを回転数〜加振振動数に関して作成した。 2.1.の実験データの整理(仕事マップ)より,回転円筒近傍の流体が,円筒に作用する力(流体力)は円筒・軸系の危険速度より高い回転数のある範囲で,円筒の振動変位に対して位相進みとなり,流体力のなす仕事が正になることが実験的に明らかとなった。 3.2での流体力による仕事が正となる条件(回転数と振動数)で回転円筒・軸系を運転したところ,自励的不安定振動が発生することを実証した。 4.回転円筒・軸系が半浸水状態で危険速度より高い回転数で運転される場合の不安定振動の発生において,その軸変位と施回波動の計測を同時に実施した。その結果,回転円筒・軸系の固有振動数に等しい振動数の波動が円筒近傍に発生していることを明らかにした。この流体波動の発生する力と円筒振動との関連の理論的解明は今後の研究課題である。
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