研究課題/領域番号 |
03454203
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公衆衛生学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
原田 勝二 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (60086618)
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研究分担者 |
佐藤 親次 筑波大学, 社会医学系, 講師 (90162437)
田中 栄之介 筑波大学, 社会医学系, 講師 (30138416)
下條 信弘 筑波大学, 社会医学系, 教授 (00080622)
小田 晋 筑波大学, 社会医学系, 教授 (90049156)
三澤 章吾 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50086534)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | GABA / GABA autoreceptor / GABA-Transaminase / ALA / ALA-Dehydratase / Gs protein / アルコール離脱症状 / genetic polymorphism |
研究概要 |
(1)アルコール離脱症状のうち個体差が顕著な症状であるけいれん、幻覚の発症の遺伝的背景を調べるため、抑制性に作用する神経伝達物質のひとつであるGABAの代謝・産生に関与するGABA-Transaminase(GABAT)のアイソザイム変異を検索した。アルコール依存症患者のうち幻覚症状を呈していた患者のGABAT1型は0%、2-1型75%、2型85.7%となりGABATの表現型と幻覚発症との間に何らかの相関があることをうかがわせた。 (2)GABAのagonistとして知られるdelta-aminolevulic acid(ALA)はGABAと競合的にGABAautoreceptorに作用し、GABAの放出を抑制することが知られている。一方、一連のヘム合成系の第二番目に位置するALAdehydratase(ALAD)には二種の対立遺伝子により産生される三表現型(1,2-1,2)が存在する。この遺伝的多型とアルコール離脱症状との相関を検索するため、アルコール依存症患者の遺伝子型のタイピングを行った。対照群としては、非アルコール性患者および一般健常人集団を用いた。その結果、アルコール依存症には1型遺伝子のみ検出されたのに対し、対照群には1型遺伝子のみならず2型遺伝子も検出され、両群の間には有意の差(P<0.005)が存在した。 GTP結合蛋白のうちstimulatory GPT(Gs)蛋白に注目し、これの活性値を健常者とアルコール依存症との間で比較した。また飲酒量との相関についても検討を行った。Gs蛋白の活性はCYC membraneのNaF-stimulated ACを再構成能として表わし、赤血球膜中のGsを用いた。アルコール依存症患者では非飲酒者のそれと比較し、35%の活性低下が認められた。次に健常者群の間でアルコール摂取量とGs活性との相関についても調べた。50g/week以下ではGs活性に変化はなく、50〜150g/weekではむしろ14%ほど活性は上昇した。これに対し150〜550g/weekでは遂に活性が低下していた。同様にNaK-ATPaseおよびGGTにも上昇がみられた。以上の結果より、アルコール離脱症状の出現にはGABA代謝の障害、GABA autoreceptorに対するALAの競合、受容体とアデニールシクラーゼの共役機構として働くGs蛋白の活性低下が関与することが判明した。
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