研究概要 |
1.ブタジエン-アルコキシシリル化ブタジエンブロック共重合体の合成 分子量、分子量分布を厳密に制御し、両セグメントが1,4-構造をとるよう、先ずブタジエンをヘプタン中でsec-BuLiを開始剤として重合させた後、KOButのTHF溶液を加えて成長種を変換して2-トリイソプロポキシシリル-1,3-ブタジエンの重合を引き続きおこなった。その結果、設計通りの鎖長と1,4-結合を主とするミクロ構造のブロック共重合体が定量的に得られることが明らかになった。 2.ブロック共重合体の水添反応 トルエン中ウイルキンソン錯体を触媒として得られたブロック共重合体の水添反応をおこなった結果、ポリブタジエンセグメントに対しては定量的に反応が進行し、一方ポリ(2-トリイソプロポキシシリル-1,3-ブダジエン)セグメントは全く水添されないことが判明した。こうして得られた水添ポリマーは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と活性シリル基を有するセグメントが結合した分子構造を有し、シリカなど無機物表面に結合してLLDPEなどポリオレフィン類と良好に混合することが期待された。 3.シリル化ポリオレフィンを含むシリカ・LLDPE複合体の調整と表面改質の評価 ゾル-ゲル法を用いて表面に多数のSi-OH結合を有する粒径200-600nmのシリカ粒子の調整し、粒子表面に対するシリル化ポリオレフィンの修飾機能を検討した。試料としてシリカ粒子/LLDPE2成分系およびこれに活性シリル化ポリオレフィンを加えた3成分系の混合物をそれぞれチッ素ガス雰囲気下180℃12時間溶融混合した。両試料の破断面を走査型電子顕微鏡で観察すると2成分系ではシリカ粒子が明瞭に露出しているのに対して,3成分系では粒子はポリマー中に十分包理されており、また、IRスペクトル測定からも活性シリル基と粒子表面のシラノール基の縮合反応でシロキサン結合が生成していることが確認された。このようにして化学的に結合したシリル化ポリオレフィンにより粒子表面を修飾、改質できること明らかにした。
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