研究課題/領域番号 |
03557011
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田中 千賀子 神戸大学, 医学部, 教授 (20025571)
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研究分担者 |
加瀬 廣 協和発酵工業, 医薬研究所, 主任研究員
春藤 久人 神戸大学, 医学部, 助手 (70206259)
斎藤 尚亮 神戸大学, 医学部, 講師 (60178499)
久野 高義 神戸大学, 医学部, 助教授 (50144564)
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キーワード | 蛋白質燐酸化反応 / 脱燐酸化反応 / 細胞内情報伝達 / サブタイプ / カルシニュ-リン / cDNAクロ-ニング / プロテインキナ-ゼC / 大量発現 |
研究概要 |
蛋白質燐酸化反応と脱燐酸化反応は細胞内情報伝達の中枢をなす機構として、近年注目を集めている。最近の遺伝子工学の進歩により、従来は単一の分子種からなると考えられていたこれらの酵素がいくつかのサブタイプを持つことが明らかにされてきた。我々はこれまで、免疫組織化学的方法を用いて、プロテインキナ-ゼCの各サブタイプが異なる脳内分布、神経細胞内分布を示すことを明らかにし、各分子種が異なる生理機能を持つ可能性を示唆してきた。さらに、脱燐酸化酵素であるカルシニュ-リンにもサブタイプが存在することをcDNAクロ-ニングにより示した。これらサブタイプの生理的役割を明らかにするためには、各サブタイプの単一精製標品を必要とするが、サブタイプを通常組織から蛋白化学的に分離精製することは現時点では非常に困難である。本研究では、プロテインキナ-ゼAやプロテインキナ-ゼC等のタンパク質燐酸化酵素、プロテインフォスファタ-ゼ2Aやカルシニュ-リンなどの蛋白質脱燐酸化酵素各サブタイプの生理的役割を明らかにするため、各サブタイプを過剰生産する細胞系を確立することを目的とした。本年度は、以下のような業績をあげることができた。 1.カルシニュ-リンの触媒サブユニットであるAサブユニットの2つのサブタイプAαとAβをそれぞれ特異的に大量発現する大腸菌株を樹立し、発現された蛋白質を抗原として、Aα、Aβを特異的に認識する抗体の作成に成功した。これらの抗体を用いて、ラット脳におけるこれら2つのサブユニットの分布を明らかにした。 2.精巣特異的に発現するカルシニュ-リンB類似蛋白質のcDNAクロ-ニングに成功した。現在、この蛋白質の生理的意義を明らかにするため、大量発現系の確立を急いでいる。 3.広島大学工学部との共同研究により、酵母におけるカルシニュ-リン類似蛋白質の遺伝子クロ-ニングに成功した。 現在、酵母のカルシニュ-リン類似蛋白質をほ乳動物のカルシニュ-リンにいれかえて大量に発現させようとしている。これにより、各サブユニットサブタイプの機能的意義が明らかにされることが期待される。
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