研究課題/領域番号 |
03557040
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
神谷 暸 東京大学, 医学部(医), 教授 (50014072)
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研究分担者 |
塩 育 (株)ニコンエンジニアリング, 取締役開発部長
青木 隆夫 東京大学, 医学部(医), 教務職員 (00101113)
柴田 政廣 東京大学, 医学部(医), 助手 (60158954)
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キーワード | 生体顕微鏡 / レーザー / 実質臓器 / 顕微鏡断層像 / 物質透過性 / 微小循環 |
研究概要 |
最終年度である本年度は、昨年度に設計・試作したレーザースリット生体顕微鏡を、実際に動物実験に適用し、骨格筋微小循環動態の顕微鏡断層像の収録を試みた。また、本顕微鏡の有用性を評価するために、骨格筋微小血管における物質透過性の局所的計測を行ない、その定量化を試みた。以下、本年度に得られた成果の概要を示す。 微小循環動態断層像の収録:家兎の下腿部に位置する骨格筋tenuissimus muscle(厚み約0.5mm)を対象として微小循環動態断層像の収録を行なった結果、組織の表面状態および照射角度にも依存するものの、開口数(N.A)0.4の対物レンズ使用で、厚み40μm以下の断層像が筋表面から200μm程度の深層部まで観察可能であった。また、得られた断層画像には、透過光照明による画像に見られるような焦点面前後の画像の重畳はなく、それぞれの深さ部位に分離された画像が得られ、レーザースリット照明法の有効性が確認できた。 毛細血管物質透過性計測への応用:試作顕微鏡を骨格筋毛細血管物質透過性の局所計測に適用し、その性能評価を行なった。家兎を対象に40,000〜150,000の分子量を持つFITC-Dextranをトレーサに用い透過性の計測を試みた結果、巨大分子の微小血管透過性を、拡散成分と対流成分に分離し、かつ局所的に定量化することが可能であった。また、得られた結果より、巨大分子は拡散効果よりも主に対流効果によって微小血管壁を透過し、その割合は分子量が大きくなるほど高くなることが明らかになった。また、その透過量は主として細静脈側で多く、毛細血管、細動脈と上流に行くに従い少なくなった。さらに本顕微鏡を用いた骨格筋微小循環血流の観察により、毛細血管物質透過性は血流速度に依存し、速度が高くなるほど上昇するという興味ある知見が得られた。
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