研究課題/領域番号 |
03557104
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石橋 貞彦 広島大学, 医学部, 教授 (90012616)
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研究分担者 |
政安 裕之 第一製薬株式会社, 医薬品開発部, 課長代理
岡村 直樹 広島大学, 医学部, 助手 (30144827)
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キーワード | 活性酸素 / 多形核白血球 / ス-パ-オキシドアニオン / 炎症 / プロテインキナ-ゼC / エブセレン(Ebselen) |
研究概要 |
モルモット腹腔多形核白血球およびそれから調整した無細胞系を実験系として活性酸素のうち産生されるス-パ-オキシドアニオン(活性酸素)の産生系に対する種々の化合物の作用を検討した。一つのセレン含有化合物(一般名Ebselen)が強い活性酸素産生抑制能を示し、いくつかの構造類似体も活性酸素産生を抑制した。Ebselenは種々の炎症モデルにも抑制作用を示した。その作用機構についての検討中に、この物質が極めて低濃度でプロテインキナ-ゼCを抑制することを見いだした。このプロテインキナ-ゼC抑制作用との関連からEbselenの種々病態モデルにおける作用を検討したところ、脳疾患モデルで良好な結果が得られた。上記の結果に基づいて蜘膜下出血、脳硬塞等の臨床試験を行なったところ従来の薬以上といえる程の効果を示し、更にこの線での検討が進められている。 以上のように活性酸素産生抑制作用の発現から一つの医薬の開発の方向で進行しているが、脳疾患への効果と活性酸素産生との関連についてはまだ不明のところが多く検討が必要である。 他面最初に述べたように本物質の活性酸素産生作用はインタクトな白血球でも、無細胞系でも著しく、1)活性酸素産生機構の研究、2)類似体を用いての構造-活性相関の研究、3)本来の目的であった抗炎症作用の研究も継続中である。 更に、活性酸素は炎症のみならず発癌、老化等への関与も重要視されているが、白血球の殺菌要因として生体防御上重要であるという両面性がある。従って、活性酸素抑制は副作用につながる恐れもあり、この基礎的研究を進め、プロテインキナ-ゼCによるリン酸化、膜構造変化、膜荷電変化、複合体形成等について多くの知見を得た。
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